感染症・自然災害等を想定したVRイベント・カンファレンス開催ソリューションのご提供について

2020年2月

感染症予防や自然災害による交通機関の麻痺等により、展示会・講演会・スポーツイベント等が実施できないケースが増えてきました。現地を訪問して顔を合わせたり、本物の存在感を感じたり、友人・アーティスト・スポーツ選手との時空間の共有が素晴らしいのは言うまでもありませんが、それが難しい場合には情報技術・VR技術が代替案になるのではと考えております。

360度写真を用いたパノラマバーチャルツアー制作ツール:PanoPlaza Tour

当社では、創業以来空間表現技術と題して技術開発をして参りました。VRやヘッドマウントディスプレイがいまほど普及する前から、バーチャルイベントソリューションとして、360度写真や360度動画を活用したコンテンツ開発・プラットフォーム提供を行っております。PanoPlaza Tourでは、お客様が撮影した360度写真を当社クラウドサービスにアップロードして、複数の360度写真を連携させることで、Googleストリートビューのようなバーチャルツアーコンテンツを作成できます。展示会の準備はしてしまったものの、お客様を受け入れられないご状況の場合などにコンテンツとして保存しておくのはいかがでしょうか?


3DメタバースVRサービス

また最近では、CGベースの仮想空間を使用したクラウド型プライベートVRサービスも提供しています。本サービスでは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で体験できる目的特化型3D仮想空間を提供しています。各参加者・出店者はそれぞれアバターとなり3Dメタバースに共存し、そこで展示会・講演会・コンサート体験などを同時体験できます。アバター同士は音声通信はもちろんのこと、頭や手の動きなどのモーションデータもアバターに反映することで、テレビ電話以上に共存感を得られるものになっています。また3D空間でPDFの資料や動画を再生できるようにすることで、講演などの実施も可能になっています。


このような社会的危機状況に、XR(Extended Reality) Engineering Firmとしてできる社会貢献をすべきという考えで本記事を書きました。もしお手伝いできそうなことがありましたら、お気軽にご連絡を頂ければと思います。

ロケーションベースVR:Dreamscape 全3作品体験記

2019年7月

2019年7月現在に体験できるロケーションベースVR(アトラクション施設型バーチャルリアリティ)において、最も高品質なものの一つとしても挙げられているDreamscapeを体験しに、アメリカはロサンゼルスにあるWesfield Century Cityというショッピングモールに行ってきました。

Dreamscapeの体験概要

訪問した2019年7月現在、体験できたコンテンツは「Curse of the Lost Pearl」、「The Blue」、「Alien Zoo」の3作品です。事前にオンラインで予約を入れてから訪れましたが、当日は夜まで予約がいっぱいで人気施設であることが伺いしれました。体験した順序は事前にウェブやブログでの評価を参考にして評判の良い順でしたが、体験後にもその順番で体験が楽しかったと思いました。

VRシステム概要

体験者がヘッドセットを装着したりする準備の部屋が合計8部屋あり、その2部屋ずつが1つのVR体験ゾーンに繋がっています。つまり1部屋で準備をしている間にもう1部屋の人たちがVR体験をしているという、効率の良い回転を実現していました。

体験者は頭部にVRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶり、背中にはノートブックPCを背負い、両手両足には青色LEDが装着されたセンサーデバイスをつけるようになっています。HMDやPCにも同様のセンサーデバイスが付いていたので合計6点で体験者の位置や動きを取るようになっています。事後調査をしたところ、これらポジションセンシングやモーションキャプチャにはスイスのNPO研究機関であるartanimの技術をベースにしているようでした。

VR体験ゾーン内部は、床は全体的に振動するようになっており、壁には風を起こすためのファン、壁や天井にはセンサ用の青色LED、そして体験の中でも現れる各種手すり、レバー、棒状のデバイス、ロボットアームに接続された触れる物体等がありました。多くのロケーションVRが何もない空間で体験するのに対して、Dreamscapeではメカ満載の空間で体験させており、視覚や聴覚だけではないいろんな感覚を刺激する工夫がありました。

Curse of the Lost Pearl: A Magic Projector Adventure

「Curse of the Lost Pearl」はそのタイトルを和訳すると「失われた真珠の呪い」になりますが、内容的には映画インディ・ジョーンズ風な古代遺跡を体験するものでした。古い遺跡に真珠を探しに行くのですが、その過程で洞窟内部で穴が空いたり槍が出てきたり、エレベーター的な乗り物で地下深くに降りたり、最後はトロッココースターで遺跡から脱出したりと、アドベンチャー的な要素を一通り含んだもので、VRのポテンシャルや強みをフルに体験させるものでした。トーチのようなものを体験者に持たせ、それで洞窟内の蜘蛛の巣を取り払ったり、仮想空間内では6人の体験者が3人ずつ2グループに分けられて、別のルートからゴールを目指すなどの工夫もVRならではと感心しました。



The Blu: Deep Rescue

「The Blue」はDreamscape社がアメリカの著名なVRスタジオであるWevr社と合同で制作したコンテンツで、体験者は海洋研究所の潜水士となって、行方不明になったクジラを捜索しに行くコンテンツです。水上の海洋研究所でのミッション説明から始まり、エレベーター的な乗り物で海中深くに降りるところまでは「Curse of the Lost Pearl」に似た体験ですが、その後海中で一人ずつ別の水中スクーターに乗り換えて移動するのが特徴的でした。この水中スクーターは、体験ゾーンにリアルなハンドルやメーター状の造作物が置いてあり、実際にハンドルに捕まりながらバーチャルな乗り物を操作するという体験になっています。



Alien Zoo

「Alien Zoo」は空想上の恐竜風な生き物を見に行く動物園体験コンテンツで、途中でモンスターに襲われそうになり体験者全員であるコントローラ(体験ゾーンで棒状のアイテムを渡される)を使って、それを退治します。また登場する恐竜を実際に触ることができ、ちらっとHMDの隙間から覗いたところロボットアームの先端に恐竜の頭部がつけられており、視覚的にはHMDで触覚的には実際の手を使わせる工夫が使用されていました。さらに体験の途中、水が降りかかる部分もあるなど、これも単純な映像視聴にとどまらない五感を刺激する様々な演出があるわけです。


Dreamscape Immersive社について

DreamscapeはDreamscape Immersive社が運営しています。この会社は、世界中に1000のシアターを所有するAMCシアターズ、映画製作会社のワーナー・ブラザース、映画監督のスティーブン・スピルバーグなど映画関連の有名企業や有名人から総額約40億円の投資を獲得しています。一つの作品あたり約10分間のコンテンツで、制作費は約1.5億円〜2億円とのことです(参考)。多くの映画関係者が参画しており、今後も同様の体験施設を世界中に展開する予定だそうで、コンテンツもさらに増えることが期待されています。

IVRPA Quebec 2016 参加レポート

2016年6月

国際的なパノラマ写真アソシエーションのIVRPA(the International VR Photography Association)が開催する写真会議に参加してきました。この会議は、世界各国のパノラマ写真家やパノラマソフトウェア制作会社が年に1度集まり、最新のパノラマ制作ノウハウや最新の製品情報を発表し、パノラマに関する情報を共有する場となっています。

2016年は6月23日〜27日の間、カナダのケベックシティで開催され、約150名ほどの参加者が来訪していました。

以下、その中で印象に残った発表についてご紹介いたします。

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️Google

まずはGoogleです。Googleが取り組んだ事例紹介から始まりました。教育機関向けVRツール「Expeditions」のプラットフォームを使い、Cardboardを無償で世界各国の教育機関に提供し、教室にいながら「バッキンガム宮殿」や「グレートバリアリーフ」といったVR体験できる取り組みの紹介です。

次に、今後のVRへの取り組みとして、Google I/O Conference 2016でも発表されたVRプラットフォーム「Daydream」についての紹介がありました。DaydreamではVR体験を向上させるために、「スマートフォン」「ヘッドセット&コントローラー」「アプリ」の3つに取り組んでいるとの事でした。

Androidの次世代バージョン「Android N」では標準でVRモードが搭載され、VRをOSレベルでサポートします。様々なサービスや表現方法が増えていき、ハイクオリティなVR体験がより身近な存在となることに期待です。弊社でもDaydreamプラットフォームを活用して貢献できることを検討していきたいと思います。

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️krpano

ウェブでパノラマを上下左右に動かしながら閲覧するためにはパノラマに対応したプレイヤーが必要となり、Krpanoは最も広く知られているパノラマビュワーです。今回の講演ではkrpanoの基本的な使い方やxmlプラグインの作り方など多岐に渡る機能がワークショップ形式で紹介されていました。

GoPro

Gopro6台を使用する新製品OmniやAutopano Video 2.5の紹介が行われました。Omniは8Kまで撮影する事ができ、各カメラの同期がとられ、シームレスな360度映像を作成する事ができます。またAutopano Video 2.5では、Adobe premiereのプラグインが追加され、premiere上で水平調整やフレームサイズを調整する事が可能となりました。本機能追加でエクレクタンギュラー形式(360度動画の一般的な形式でアスペクト比が縦横2対1のサイズ)の状態から水平調整ができる様になり、後編集がより容易になりそうです。

更にVR体験を向上させるモダンエンジンが開発中で、ブラウザで動くオープンソースが2016年Q4に公開される予定と発表がありました。講演では画面に2人のレーサーが現れ、選択したレーサーの視点でパノラマ動画が再生されました。再生中にはもう1方のレーサーに切り替える事もでき、2つのパノラマ動画をマルチ再生するコンテンツとして紹介されていました。
現在、開発中のモダンエンジンとのことで今後どのような機能が追加されていくのか楽しみです。

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その他

初日にはDiscover Quebecと称してケベックシティ内を散策しながらパノラマ撮影を行なったり、Google Street Viewに関する講演や各社のパノラマ写真事例が次々と紹介され、刺激のある1週間となりました。また、IVRPA主催者が企画したモンモランシーの滝へのツアーも開催され、迫力ある滝の様子をこちらのページでケベックシティの街並みと共に紹介していますので合わせてご覧下さい。

グローバル採用

2015年6月

国内の少子高齢化に伴い労働人口の減少が始まっている。国内の動向云々とともにアジア諸国の急速な発展もあり、会社経営においてもそういった動向を無視できない状況になっている。

ビジネスの海外展開

当社のウェブサービスはパノラマ静止画を使用したバーチャルショップ作成ツールPanoPlazaにしろ、パノラマ動画共有サービスであるPanoPlaza Movieにしろ、ユーザインターフェイスには当初より英語も用意しており、海外からのユーザを歓迎している。しかし、国内の顧客ニーズを満たすのに精一杯で、必ずしも海外ユーザのニーズへの適合やそもそもの積極的なマーケティングができていないのは認めざるをえない。このあたりは今後の課題である。

外国人採用

ビジネスが海外展開するのならば、それに対応する社員の国籍も多様化していたほうがいいだろう。そもそも優秀な方であれば国籍で区別をすることなく積極的に採用していくほうが合理的だ。国内での一般的な労働人口の減少やエンジニア不足により、そういった人的リソースを海外に求めるのも自然であろう。また採用した外国人スタッフを経由して、その国への進出案を検討するといったことも可能だ。

ベトナム人エンジニアの採用

そういったコンセプトにより、今回当社初の外国人スタッフに内定を出して、彼の現在の所在地であるベトナムに面談に行ってきた。ベトナムのハノイ工科大学にはHEDSPIというコンピュータサイエンスと日本語を学ぶ特別プログラムがあり、これは日本政府が援助している。他の教室にはないがHEDSPIの教室にはエアコンが完備しているほどで、ハノイ工科大学の中でもトップの学生が集っており、また実際に卒業生の多くが日本企業や日本向けのオフショア開発企業で働いているそうだ。当社の内定者もこちらのプログラム出身者である。
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ハノイのベンチャー企業訪問

私の出身研究室に留学に来て、その後ベトナムに帰国して起業された方のオフィスにもお邪魔してきた。まだ起業して間もないにもかかわらず合わせて20人以上の正社員とインターンにより主に日本市場向けのソフトウェア開発をされているとのこと。仕事の多くはクラウドソーシングなどのウェブサービスで獲得しているらしい。また訪問したのは土曜日だったにも関わらずスキル向上を目指す現役ハノイ工科大学の学生が集って勉強をしていた。

今後もビジネスの海外展開と人材の多様化・国際化を積極的に進めたいと思ったベトナム出張になった。

バーチャルリアリティ2015

2015年4月

カディンチェが取り組んでいる事業をこれまで僕らは空間表現技術やパノラマなどと呼んできました。そんなパノラマ静止画・パノラマ動画というある意味ニッチな業界にいたつもりが、最近はバーチャルリアリティ(VR: Virtual Reality)という波が来ていて、そんな波に乗りながらパノラマVR・スマホVRのサービス提供や技術開発に取り組んでいます。そこで改めて当社が取り組んでいる事業をバーチャルリアリティの歴史的な背景と照らし合わすことで、今何に取り組んでいて、どこに向かっているのかを整理してみたいと思います。

視覚系バーチャルリアリティ

Oculus Riftに代表される没入型ヘッドマウントディスプレイの登場や、そのOculus VR社がFacebookに約2000億円で買収されたぐらいから、バーチャルリアリティという言葉が(再び)メディアを賑わすようになってきました。まるでそれがとても新しい技術のように紹介されているのをよく見ますが、バーチャルリアリティ研究自体は1968年前後から進められていました。視覚以外に聴覚や触覚などをコンピュータ上で再現させるのもバーチャルリアリティと呼ばれますが、ここでは主に視覚系に絞って話を進めます。Wikipediaによると「1968年にユタ大学のアイバン・サザランドによって HMD(ヘッドマウントディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ)が提案されたものが最初のバーチャルリアリティであるとされ」ているそうです。このアイバン・サザランドさんが開発されたHMDを見ると、現代のHMDの原型は今から約50年前にすでに出来ていたことがわかります。ivan-sutherland

いまではVR専用ハードウェアとしてのHMDだけでなく、Google Cardboardやハコスコといったスマートフォンを用いて安く簡易にVRを体験させられるスマホVRが出てきています。当社では主に視覚系バーチャルリアリティの分野で事業展開をしています。

VRコンテンツの拡充・可能性検討

HMDで視聴する映像コンテンツは、視聴者の頭の動きに応じて映像も変わるようにするために、多くの場合3D仮想空間やパノラマ360度動画になってます。コンピュータグラフィックスで作られた空間は3Dメタバースと呼ばれ、2003年に開始されたセカンドライフなどが代表例としてあります。さらに遡って1991年にトーマス・ディファンティやダニエル・サンディンらの複数方向の壁面をディスプレイにした没入型空間CAVEなどでも仮想空間の再現をしています。cave

VRのハードウェアだけ揃っても視聴すべきコンテンツがなければ楽しめません。そこで当社では実写型パノラマ動画の撮影・制作を通してVRコンテンツを増やしたり、パノラマ動画共有サイトであるPanoPlaza Movieを運用することで、より多くのVRコンテンツが世の中に出回るような支援をしています。弊社のお客様のハコスコストアさんにもコンテンツは充実しています。こういった活動を通して、バーチャルリアリティで有用もしくは面白いコンテンツを探っています。スポーツコンテンツの撮影を通して、VRは没入感を体験させられるだけでなく、アスリートの一人称全周囲視点などを体験させられることを発見しました。今後もスポーツだけでなく、観光、音楽、工場見学、交通機関等の実写系コンテンツを制作しながら、可能性を拡大していきたいと思っています。

非平面コンテンツでの技術開発

テレビ放送が1940年前後に始まって以来、視聴者は解像度や色などに進化はあったものの、基本的には平面なコンテンツを見てきました。インターネット上の動画コンテンツも放送フォーマットやテレビ機器という制約がなくなったにも関わらず、これまでは画角の決まった平面コンテンツでした。しかし、バーチャルリアリティでのコンテンツでは360度全方位の非平面コンテンツになり、映像コンテンツのフォーマットが一気に変わる変革期となっています。ここでは視聴者が見たい方向を自由に見られ、インタラクティブなユーザ体験を与えられるようになりました。sスクリーンショット 2015-04-06 10.09.29

これまでのテレビ放送とネットでのバーチャルリアリティコンテンツとの違いは以下のようになります。

・平面/固定画角コンテンツ→非平面/全方位コンテンツ

・リモコン操作→マウス操作・ジェスチャー操作

・放送/テレビ機器→ネット/ネット対応端末

このようにこれまでのテレビなどでは与えられない映像体験を提供しているのがバーチャルリアリティだと捉えています。その高画質化には撮影・編集・配信のすべての過程での検討が必要になります。また既存の制作現場にあるノウハウの多くは平面コンテンツに特化しており、パノラマ動画などの非平面コンテンツでやるべきことはたくさんあります。

まとめ

バーチャルリアリティはいよいよ一般消費者に利用いただける技術レベル・価格になってきました。今後はバーチャルリアリティ関連の技術開発とともに、どのようなコンテンツをどのような視聴者に向けて届けるかといった、よりユーザ目線での取り組みが必要になります。当社としてもまずはパノラマ動画をベースにした、制作・配信・表示の各工程での技術開発に取り組んでいますが、様々なコンテンツをより臨場感高く・より感動を共有しやすいような方法で提供できるように努力する所存です。

パノラマジャーナリズムの可能性

2014年12月

今回はパノラマ静止画・動画とジャーナリズムの可能性に注目します。

ジャーナリズムとマルチメディアの歴史

技術の発展は、ジャーナリズムの形も変えてきました。マルチメディアジャーナリズムはどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。ジャーナリズムとは、新聞やテレビ、ラジオを通して一般大衆に時事的問題を報道・解説する活動のことを指します。
・新聞は1868年に、ラジオは1925年にテレビに先駆けて始まりました。
・テレビは、第二次世界大戦が終焉した8年後の1953年に始まりました。
従来のジャーナリズムは、18世紀以降の民主主義社会に誕生してから、政治や行政の意思決定者が透明性を維持するために社会の番犬として存在意義を示してきました。

メディアの多様化により進化するジャーナリズム

インターネットメディアの誕生がジャーナリズムに変化をもたらしたのは、1990年代に入ってからです。今や全世界に広がるYahooサービスは1994年に始まり、様々なポータルサイトが次々と誕生しました。同時期の1995年には、朝日新聞がニュースサイトasahi.comを開設しました。こうしたネットメディアの普及は、新聞の発刊数現象や、活字慣れを引き起こしています。
2011年のジャスミン革命などの民主化デモは、ITメディアの果たした役割が大きいことを裏付けています。また、20代の国民の7割がニコニコ動画のユーザーであるというデータが示すように、現在は個人が情報を収集し発信するというパーソナルメディアの時代へと突入しているのです。

パノラマ静止画・動画を利用したジャーナリズムの可能性

パノラマ静止画・動画を利用したジャーナリズム(パノラマジャーナリズム)は、撮影対象の上部や背部も一度に見ることを可能にします。つまり、「見えない」を「見える」に変えてしまうニューメディアなのです。事件報道を例にパノラマジャーナリズムの可能性を考えてみましょう。
第一に、人件コスト削減の可能性が考えられます。動画リポートでは、現地の状況を言葉で伝えるリポーターとその動画を撮影するカメラマンがいますが、パノラマ動画では1人での撮影・リポートが可能になります。
第二に、従来メディアでは制作者の意図によって「切り取られた」映像が視聴者に伝達されるのに対し、パノラマジャーナリズムは、発信者の現場・状況がそのままパノラマ動画に反映されます。このように、パノラマジャーナリズムは視聴者への伝達の程度を高める効果が期待できます。加えて、事件に遭遇した一般大衆もパーソナルメディアとして情報発信することができるかもしれません。

(テストとして、紅葉レポートを社内でやってみました!)

まだまだ既存メディアの果たす役割が大きいですが、パノラマ写真・動画といったマルチメディアを駆使したジャーナリズムは、既存のマスメディアジャーナリズムの領域に徐々に及んでいくことでしょう。一緒にパノラマ動画を使って時代の先駆者になりませんか?

ネパール・ブータン出張 2014

2014年9月

2014年9月2日から11日にかけてネパール・ブータン出張に行ってきました。私は実はほぼ毎年両国を訪問しているのですが、今回も個人的に興味深いいくつかの成果があるので、紹介してみます。

ブータンオリンピック委員会・政府観光局主催:ツアーオブドラゴン

創業直後からブータン政府観光局が弊社のお客様でして、日本語ウェブサイトの管理・更新を担当しています。そんなブータン政府観光局がブータンオリンピック委員会とともにマウンテンバイクレースであるツアーオブドラゴンを9月6日に開催し、そのレースにアスリートソサエティ代表理事の為末大さんとともに取材・体験しに行きました。そちらの結果は後日ブータン政府観光局のウェブサイトに特集ページとして掲載予定ですので、もうしばらくお待ち下さい。

ヒマラヤ監視システム

国立環境研究所とともにパノラマ撮影技術を応用して山岳監視システムを開発・納入したことは先日ご紹介いたしました。山の監視システムであるならば、日本だけでなくヒマラヤ山脈でも活用頂けるんじゃないかと考え、以下のネパールにオフィスのあるICIMODと、ブータンの政府機関であるCoRRBを訪問し、システムの紹介や今後のコラボレーション可能性の相談をしました。ICIMODのオフィス(下の写真)では、研究者の方々が山に関する様々なデータ・画像処理をされていて、情報技術を通した国際協力の可能性を多いに感じました。
International Centre for Integrated Mountain Development (ICIMOD)
Council for Renewable Natural Resource Research of Bhutan (CoRRB)

パノラマ撮影

今回、ブータンではブムタンとトンサに、ネパールではルンビニに初めて訪問しました。ブムタンとトンサで撮影したパノラマ写真はブータン政府観光局ウェブサイトに掲載しましたが、ルンビニは以下の通りです。ルンビニとは、ブッダ生誕の地として知られておりタライ平原(周囲は田んぼや畑が広がる平地)に位置しています。

いくたびに現地でのビジネス可能性を考えながらの旅になりますが、今回も多くの収穫がありました。なお、ネパール・ブータンにご関心のある方は、個人的にでも連絡を頂ければ、いろいろとご紹介できるかと思いますので、お気軽にお問い合わせ下さい。ちなみに今回の渡航でのローカルコーディネーションはネパールはPax Earth、ブータンはKeys to Bhutanに担当して頂きました。

soko aoki

「コンテンツ制作・配信ソリューション展」に出展します

2014年6月

カディンチェ株式会社は来週7月2日(水曜日)より東京ビッグサイトにて開催される「第2回 コンテンツ制作・配信ソリューション展」に出展いたします。

弊社ブースではパノラマバーチャルツアー制作プラットフォーム、PanoPlazaのご紹介に加えて、新たな取り組みである360度全方位パノラマ動画コンテンツもご覧頂けます。

また、Facebookによる買収ニュースで話題となった最新ヘッドマウントディスプレイ、Oculus Riftも併せて展示予定です。360度全方位見渡せる静止画・動画をこれまでにない没入感で体験して頂けます。是非、お気軽にお立ち寄り下さい!

イベント概要

弊社ブース位置

  • 出展ゾーン名:制作・編集 技術ゾーン
  • 小間番号:15‐49


PanoPlaza デモムービー


360度全方位パノラマ動画 デモムービー

IVRPA Las Vegas 2014 参加レポート

2014年6月

2014年5月25日から31日にアメリカはラスベガスで開かれたLas Vegas 2014: The International VR Panoramic Photography Conference (国際バーチャルリアリティー写真会議)に参加してきたのでご報告したいと思います。この会議は去年はIceland 2013としてアイスランドで開かれ、そのレポートはこちらにあります。今回も昨年同様約150人の参加者が集まりました。開催地がアメリカということで、GoogleやMicrosoftといった巨大IT企業も参加してたのも今回の特徴でした。


発表者の割合は以下の通りで、この発表構成や会議名からもパノラマ制作の最新ノウハウ・最新製品の情報交換の場と理解できると思います。会場で発表を聞きながら、各聴衆のマシンではパノラマ写真編集やパノラマ動画合成のソフトが動いているというのもこの会議の特徴かと思います。
・パノラマ写真家・360度動画作家:50%
・パノラマソフトウェア制作会社:25%
・パノラマハードウェア制作会社:10%
・Google・Microsoft:10%
・その他:5%
以下では、発表の中でも特に弊社としてチェックしたものをリストアップしてみました。

パノラマ動画制作:xRez Studio

xRez Studioはディズニーやソニーで映像制作を行っていたデザイナーと、博物館向けに立体映像を提供していた写真家によって構成されているアメリカの制作スタジオです。制作している作品がどれも高品質でアーティスティックなもので、感情を揺さぶる映像でした。同社のFullDome Theatre Produtionのページではドームへのパノラマ動画投射のデモビデオも掲載されています。

パノラマ動画制作:deep360

Deep Incはカナダの映像・ゲーム制作会社で、様々な作品にパノラマ動画を上手に利用していることで聴衆の関心を集めていました。彼らのウェブサイトには辺境地で撮影したパノラマ動画のデモが掲載されているのとともに、Flipboard向けのコンテンツ360 Filmmakingも載っていましたので、これらを参照されると面白いかと思います。


パノラマ動画空撮:Shadowview Foundation

Shadowview財団は無人航空機を使用して野生動物の監視等に取り組んでいるオランダのNGOです。スタッフにはプロの写真家や無人航空機を担当していた退役軍人なども所属しており、密猟や動物保全等の活動をされています。今回の発表では、アフリカの自然で空中パノラマ(Drone 利用)と地上パノラマを撮影して、その間を行き来出来るパノラマツアーを披露していました。ハイテクなNGOというのが面白いですね。

3Dスキャン:Matterport

Matterportは専用機械やスマートフォンを使って空間を3Dスキャンするシステムを研究開発しているアメリカのベンチャーです。これまで空間のスキャンをするには測量会社が使用しているような数百万円-数千万円する3Dスキャナーが必要でしたが、Matterportは4500ドルでMatterport Pro 3D Cameraを販売しています。また、専用の3Dスキャナーだけでなく、スマートフォンでも同様のことを出来るようにと、GoogleのProject Tangoにこの会社が参加していることは最近日本のメディアでも発表されて有名になりました。

その他の発表

Googleはお店フォトなどのBusiness向けソリューションの説明、MicrosoftはPhotosynthのデモ、KolorやVideostitchはパノラマ関連ソフトウェアのアップデートの紹介、リグメーカーのFreedom360や360Herosはいろんな場所でのパノラマ動画撮影やその際のノウハウ紹介をしていました。これら一般的なパノラマ関連製品の概要は去年のレポートをご参照下さい。

カディンチェの発表

このような発表の中で、当社は”PANOPLAZA: PANORAMAS FOR SHOPS, FACILITIES, & MOUNTAINS“と題して、CTOの内田が発表をしました。Panoplazaでのこれまでの各百貨店での取り組み、北米マーケットでのBrowsewellの展開、現在開発を進めている新業界向けPanoplaza、そして山脈監視用の超高解像度パノラマ撮影装置等を紹介しました。他の発表が作品性の高いものや、完成されているソリューションの紹介が多かったのに対して、まだ研究開発中の技術的な話題も多くさせて頂きました。

今後のパノラマ関連国際イベント

来年のIVRPAのイベントはデンマークで予定されているらしいので、パノラマやバーチャルリアリティーにご関心のある方は参加を検討されてはいかがでしょうか。また、今年の9月3日-5日にフランスのパリではPanoTools Meetingという類似イベントも開催されるそうなので、来年まで待てない!という方にはこちらもお勧めです。

Kadinche Spring Camp Meeting 2014:春の全社合宿

2014年5月

年に2回の全社合宿

カディンチェ株式会社では、だいたい年に2回、全社員の参加する「全社合宿」を行っています。合宿の目的やテーマは毎回違うのですが、その時カディンチェ全体で重要なテーマとなっている案件や課題について議論をしたり、この機会に普段できない実験や検証をまとめて行ったりしています。また、普段各メンバーが忙しく仕事をする中で、ついおろそかになりがちなメンバー同士のコミュニケーションを補う機会でもあります。今回の合宿は、5月頭の週末を利用して、富士山のふもと、富士が峰で行いました。キャンプには絶好の季節、天候にも恵まれた「カディンチェ 春の全社合宿」の様子を、今日はご紹介したいと思います。

全社合宿で大事にしている3つのポイント

本来の業務範囲以外の部分で、社員が教育を受けたり、社員同士でセッションを行ったりという取り組みは、どこの企業でも行っていると思います。カディンチェでも、外部の専門家を招いた講習会を行ったり、メンバーそれぞれが興味のある分野や業務範囲に関連したセミナーに参加することもあります。ただ「全社合宿」となると、内容を企画するのになかなか難しい部分があります。メンバーにはそれぞれの役割と業務があり、目の前の仕事に直面しています。必ずしも、同じテーマに興味があるとは限りません。そこで僕たちはこうした機会において、冒頭にお話しした下記3つのポイントを大切にしています。

  • メンバー全体のコミュニケーションを補う
  • 普段なかなかできない技術検証・実験・試験などを行う
  • 全社的・中長期的なテーマでディスカッションを行う

そこで、今回の合宿では、こんなスケジュールで2日間を過ごしました。メンバーからの話を聞くと、「あれもしたい、これもしたい」と、とても2日間では収まり切らないのですが、上記3つのポイントを前提にバランスを考えてスケジュールを組んでいます。

DAY1
09:00-11:30 キャンプ地まで移動
11:30-12:30 昼食
12:30-15:00 実験 色々な実験・検証
15:00-17:30 レジャー1 ゴルフ
17:30-19:30 セッション1 “5年後の社会を考える” w/ BBQ
19:30-20:30 入浴
20:30-22:30 セッション2 “ワークショップ” w/ ビール
DAY2 12,May
09:00-11:00 レジャー2 テニス
11:30-12:30 昼食
13:00-15:00 セッション3 “企業理念とワークスタイル”
15:00-17:30 帰宅

スポーツをしながらのコミュニケーション

日常の業務の中で行うコミュニケーションは、どうしても仕事の内容に縛られがちです。一緒に働いているわけですから、当然「仕事」の話が会話のほとんどになります。でも円滑に「仕事」を回すためには、一緒に仕事をする相手の「人と成り」や「性格」、「考え方」を知っていた方が良い場面もあります。相手のそうした部分を知るための手がかりは、案外と業務の「外」にあったりします。社会人にとって飲み会やゴルフが重要な場である理由のひとつには、「何か(飲んだり、スポーツをしたり)をしながら交わす他愛も無い会話が、相手を知る重要な情報源になる」からだと思います。そこで今回の合宿では、「ゴルフ」と「テニス」。2日連続でスポーツをする機会はなかなかないので、翌日激しい筋肉痛になったメンバーもいましたが。単純にスポーツをしてリフレッシュできたばかりではなく、メンバー同士の個性やカラーが、また少し混じり合ったのではないかなと思います。


富士山をバックにした気持ちのよい練習コース


この日、テニスを始めるまで、実はテニス経験者であることを隠していた弊社専務。


この日、テニスが終わるまで、実は今、テニススクールに通っていることを隠していた制作の高橋さん。


二人の意地をかけた戦いは、パノラマ動画でバッチリと記録されました。

 

技術検証・実験:この機会に、いろいろ試す

さて一方、普段オフィスや都会ではできないことを試そうということで、今回もたくさんの機材を持って行きました。カメラが、、合計21台。。クアッドコプターにラジコンカーに、自動雲台。みんなそれぞれやりたいことを考え、機材を選んできたのですが、危うく車に乗り切らず、一人置いて行かれそうになりました。

カディンチェは、360°パノラマを使ったバーチャルツアー・バーチャルショップ制作サービス「panoplaza」(詳しくはhttp://www.panoplaza.com)の他、このサービスに関連して、あるいは開発メンバーの経歴や得意分野を活かした受託開発・受託研究にも取り組んでいます。そうしたお仕事に欠かせないのがカメラ。普通のカメラはもちろん、色々なカメラが必要になるので、どうしても機材が増えていきます。ご相談頂くお仕事の中には、「そんなことが本当にできるのか!?」といったものも少なくありません。「できるかどうか分からないけど、とりあえずやってみる」。そうした取り組みを重ねる度に、機材は自然と増えていきます。そうした機材たちは、僕たちの技術を高めスキルを広げる会社の財産でもあります。ひとつひとつの機材に、「ああ、あのときこれを使ってあんなことしたなぁ」という思い出がつまっています。
今回の合宿で具体的にどんな実験を行ったのかをブログで公開することはできないのですが、何枚かの写真をご紹介します。


富士山の前で望遠レンズを付けたカメラをPCから操作する専務。


急ごしらえしたラジコンカー。


最近取り組んでいる「空撮パノラマ」のためのヘリコプター操縦訓練。


墜落したヘリコプターを回収する社長。墜落の原因は操縦士の腕ではなく、整備不良です。

こうした実験や取り組みは、必ずしも直接お仕事につながるものばかりではありません。ただ、こうした機会と場所は、普段眠らせていたアイデアを試す絶好のチャンスになります。課題や問題を発見し、「次はこれをやってみよう!」という良い動機付けにもなりました。

ディスカッションは火を囲みながら

「せっかく外に来たのだから!」と、今回のディスカッション・プログラムのうちの一つは、「バーベキューのあと、火を囲みながら」やってみることになりました。陽もくれて月明かりと暖かい火を眺めながら、リラックスしたムードでやってみたいという企画者の意図でした。


しかし。都内ではずいぶんと暖かくなった時期ですが、このあたりは未だ夜は冷え込みます。「寒過ぎて議論に集中できない!」という声もちらほら。そんなわけで夜のセッションは急遽室内で行うこととなったのですが、その後の親睦会も含め、終電の時間を気にすることもなくゆっくりと話をすることができました。今回の各セッションには、メンバーそれぞれに簡単な宿題がありました。一つは「5年後の社会を想像し、それまでに自分がやるべきことを考える」。もう一つは、「カディンチェのキャッチコピーを考える」です。カディンチェを、どんな会社にしたいか。その中でどんな役割を果たしたいか。そうした話は、普段オフィスや会議室では話題になりにくいものです。メンバーそれぞれが中長期的な視点から自分の考えを話す。何かちょっと照れくさい感じもあり、途中から「笑点」のような雰囲気になってしまいましたが。会社の規模が小さいことには不利な面も多々有りますが、メンバー全員が、こうした全社的なテーマに触れることができるというのは良いことかもしれません。
親睦会のあとは、タイムラプス映像を撮りに行った人、月の軌道を確認する人、音楽の話題に興じる人、ウィスキーを片手に星空を眺める人、みな思い思いにこの機会を楽しんだようでした。


「全社合宿」のために時間を捻出したり、準備をするのには、けっこうな労力がかかります。様々な業務の締め切りがある中、気持ちを切り替えて楽しむのにもエネルギーが必要です。しかしこうしたイベントの後には、きっと何か新しいアイデアや取り組みが、生まれるものです。新しいアイデア、新しい取り組みのキッカケの一つになるように、今後も「全社合宿」は定期的に開催される予定です。次回は秋頃、温泉が良いかな。最後まで読んで頂き、ありがとうございました!