360度動画音声のspatial audioを録音できる「H2n」の使い方

2016年7月

360度動画の映像をHMDや簡易ビュワーで閲覧した時に、音声の強弱も向いている方向に合わせて変わるとより没入感を持ってコンテンツを閲覧できます。360度音声であるSpatial Audioを再生するためには、ビュワーソフト側が対応している必要があり、一般的なサービスとして、YoutubeのAndroidアプリがあります。

このページでは、Youtubeアプリで使用できるSpatial Audioモードを搭載したZoom社の「H2n」レコーダーの使い方をご紹介します。映像側は360度撮影が容易なTHETA Sを使用しました。

Spatial Audioモードでの撮影・録音

下記PDFの手順に沿ってH2nの録音設定をSpatial Modeに設定後、THETAとH2n(Spatial mode)で動画と音声を撮ります。撮影の際、H2nの液晶部とThetaのシャッターボタンの向きを合わせると、映像と音声の方向が一致します。

https://www.zoom.co.jp/sites/default/files/products/downloads/pdfs/H2n_Ver2_OPmanual_J.pdf

Spatial Audioの映像編集

Premiere等のマルチチャンネル音声を書き出し可能なビデオ編集ソフトで映像と音声を合わせます。
(参考:https://support.google.com/jump/answer/6400185?hl=en

Premiereでの環境設定

編集>環境設定>オーディオにて、マルチチャンネルモノラルメディア:アダプティブに設定します。
Premiere

シーケンスの作成

ファイル>新規>シーケンスにて、新規シーケンスのダイアログを表示し、トラックタブに移動します。マスターをマルチチャンネルに設定後、チャンネル数を4に、それぞれのトラックの種類をアダプティブにします。
Premiere

音源のインポート

4チャンネルの非圧縮オーディオファイルをインポートします。 (ファイル形式は.wav or .mov)オーディオファイルをトラックにドラッグします。

書き出し

書き出し設定を以下の様に設定します。

  • 形式:Quicktime (.mov)
  • オーディオコーデック:非圧縮
  • サンプルレート:41000Hz or 48000 Hz
  • サンプルサイズ:16ビット
  • 出力チャンネル:4チャンネル
  • チャンネルのレイアウト:モノラル
  • Premiere

    メタデータの付加

    出力した動画にspatial audioのメタデータを付加します。

     ⇒https://github.com/google/spatial-mediaのスクリプトを使います。

    $ python spatialmedia -a -i video.mov video_meta.mov

    360度動画のアップロード

    メタデータを付加した動画をYoutubeにアップロードします。Youtubeへの360度動画アップロードについてはYouTubeのヘルプをご確認ください。
    (参考https://support.google.com/youtube/answer/6178631?hl=ja

    360度音声の閲覧
    2016年7月末現在ではAndroidのYoutubeアプリで360度音声を視聴でき、iPhoneではステレオ再生となります。

Gear 360の使い方

2016年7月

2016年7月15日、Samsung社は360度動画撮影が可能な「Gear 360」がGalaxyブランドとして発売されました。本ページではGear 360での360度動画撮影や撮影した映像をパソコンに取り込む方法をご紹介いたします。

Gear360本体での撮影

microSDとバッテリーを本体に挿入し、添付画像下にある電源ボタンを長押します。

gear360_2

MENUボタンで撮影モードの切り替えが可能です。モードはGear360本体の上部にLED表示され、確認する事ができます。Gear360の上部にあるOKボタンで、録画の開始/終了や写真の撮影を行います。

gear360_3

モードの種類

  • 録画モード
  • 写真モード
  • タイムラプスモード
  • 動画のループモード
  • 設定

アプリ連携後の撮影

Gear360はGalaxyのスマートフォンと連携することで、ライブビューや視聴、共有が可能になります。

Gear360とGalaxyの接続

Gear360の電源を入れ、メニューボタンを長押しすると、ペアリングモードになります。

Galaxy上でGear 360 Managerというアプリをインストール後、アプリを起動し、BluetoothをONにします。その後、「GEAR 360に接続」をクリックします。
Gear360_Manager
Gear360をBluetoorh経由で検索されるため、画面の指示に従って接続を完了させてください。

録画・撮影・視聴

画面の右下にあるボタンをタップすると、ライブビューを使用できます。
Gear360_Manager2

撮った画像はGear360のカテゴリに保存されるので、そこから視聴や共有をすることができます。

PCでのスティッチ・閲覧方法

Gear360で撮影した360度動画・静止画は、PCに取り込み、スティッチする事も可能です。Galaxyのアプリでスティッチング(画像の統合)を行うと、解像度が低下してしまいます。そのため、解像度を撮影時の状態に保つためには、パソコンに取り組んでスティッチングを行います。

スティッチ専用Windowsアプリのインストール

PCでスティッチを行うためには、Gear360のWindows専用アプリケーションを使う必要があります。Gear 360のホームページから「Gear 360 ActionDirector」をインストールします。インストール後、Gear 360 ActionDirectorを起動し、「360 VR動画」を選択します。

Gear 360から動画ファイルを取り込むには、USBケーブルをパソコンに接続し、転送を行います。

取り込んだ動画・写真をスティッチングする

ウィンドウ上に取り込んだ動画ファイルをドラッグすると、ライブラリに入り、自動的にスティッチングが行われます。
gear360_pc1
ライブラリから下のタイムラインにコンテンツをドラッグします。上部にある「ファイル」を選択し、「出力」を選択します。
gear360_pc2
任意の設定をして、「開始」を押すと出力が始まります。出力が終わると、選択したフォルダにスティッチングされた動画ファイルがあることが確認できます。

最後に

Gear 360はGalaxyとしか連携できないという点はありますが、4K動画がとれるほどの解像度や本体の軽さはGear 360にしかない魅力です。また、非常にシンプルで使いやすく、手軽に360度動画を撮影する方法として適したデバイスではないでしょうか。