Giroptic社 360camのレビュー

2016年6月

360度動画を手軽に撮影できるGiroptic社の360camが弊社に届きました。RICOH社のtheta sと画質・明るさ・歪み・画角の点で比較してみようと思います。今回は室内での動画において比較をしています。

画質

まずは画質の比較です。両機材ともプロ用ではなく一般向けの商品で、GoPro等の複数カメラを使用して撮影した映像と比較すると画質は劣りますが、二つの間でも画質の差が確認できました。

theta

スクリーンショット 2016-06-22 17.11.59

360cam

スクリーンショット 2016-06-22 17.12.42
上記の画像は動画の1シーンをキャプチャした画像です。見て頂いて分かるように画質においてはthetaの方が良く、360camでは画質の粗さが目立ちます。

明るさ

続いて動画の明るさを比較してみます。

theta

スクリーンショット 2016-06-22 17.23.07

360cam

スクリーンショット 2016-06-22 17.23.49
どちらもオートで撮影していますが、360camの方が明るく、現実の明るさに近いです。thetaはオートのままだと暗いですが、設定で露出を変えられるので、自分の好きなように撮影することが可能です。

歪み

パノラマ動画の最大の欠点でもある、スティッチング(映像の統合)の際に生じる歪みについて比較します。

theta

スクリーンショット 2016-06-22 17.19.38

360cam

スクリーンショット 2016-06-22 17.20.25
両者とも少なからず歪みはありますが、360camは接合部分の歪みがかなり目立っています。加えて、360camは三つのレンズで撮影しているので、三つ境界線(歪む部分)で歪みがあります。もちろんthetaでも二か所の接合部分において歪みはありますが、少しずれが生じている程度です。

画角

両者とも360度カメラというだけあって、すべての範囲を映せています。ただ、真下の位置において両者で違いが出ています。thetaは映せていますが、360camの方では意図的にロゴで隠しています。

theta

スクリーンショット 2016-06-22 17.27.11

360cam

スクリーンショット 2016-06-22 17.25.42
もし真下の部分まで撮りたいのであれば、thetaのほうがいいでしょうし、真下に写りこむ撮影者や三脚が気になる方は、360camの特性を生かして隠すとよいでしょう。

アプリの自由度

それぞれのカメラの特徴として、アプリで連携してリモート操作できるという点があります。そこで、アプリの操作性においても比較してみます。

theta s

theta-s3リモート撮影での撮影モードでできることが多いです。写真ではシャッタースピードやホワイトバランス、露出補正等の変更が可能です。またtheta +という画像編集特化型アプリもあるので、総じて自由度が高いという印象です。

360cam

Screenshot_20160622-143908シンプルで使いやすく、YouTubeへの共有がすぐにできます。ただシンプルなだけに、thetaアプリに比べると自由度が低いです。

その他気になった点

360camでは、起動や撮影モード切り替えの時に、読み込み時間が結構かかりました。対してthetaはあまり読み込み時間がありません。360camで優れている点は、撮影したすべての写真動画を自動的にスティッチングしてくれるという点でしょう。thetaもアプリで閲覧する時は自動的にスティッチングを行ってくれますが、PCに移して360度に対応させる為に、パソコンのtheta用のソフトを用いる一手間がかかります。360camはアプリでも、パソコンでも、すべてを自動的にスティッチングしてくれるので、手間なくすぐに閲覧したり共有したりすることができます。

まとめ

360camとtheta sの比較

比較項目 360cam theta s
画質
明るさ △(設定次第で〇)
歪みのなさ ×
画角 △(使い方次第で〇)
アプリの自由度 △(使いやすさは〇)

最後に

最後に、画質や歪みを重視すると、theta sの方が使い勝手がいいように感じました。しかしどちらのカメラも、360度カメラ初心者にとっては値段以上に価値のあるカメラだと思います。ぜひこれらのお手軽なカメラを使って、流行のパノラマ写真やパノラマ動画に挑戦してみてはいかがでしょうか。

ケベックシティとナイアガラのパノラマ動画

2016年6月

カナダで開催されたIVRPAに参加するのにあわせて、ケベックシティの街並みやナイアガラの滝・モンモランシーの滝という2つの滝をパノラマ撮影してきました。古いヨーロッパの街並みを彷彿させるケベックシティの様子や迫力ある滝の映像をぜひご覧ください。なお、IVRPAの講演の様子についてはこちらのページに記載しています。
* IVRPA・・・the International VR Photography Association

ケベックシティ

IVRPAが開催されたケベックシティは、カナダケベック州にあります。街全体がユネスコ世界遺産に指定され、北米唯一の城塞都市です。ケベックシティはロウアータウン、アッパータウン、新市街と3つの区域に分かれています。旧市街であるロウアータウンは19世紀まで街の中心地として栄え、ロワイヤル広場やビル1面に描かれた壁画を見る事ができます。
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一方、アッパータウンは城のようにそびえたつシャトー・フロントナックというホテルがあり、ケベックシティの象徴となっています。このホテルのすぐそばにはダルム広場やテラス・デュフランがあり、セントローレンス川を望め、絶景を見る事ができます。
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最後に新市街は、ケベック州議事堂や旧市街に入る門があり、ケベックシティ内を観光できる馬車乗り場が近くにあります。ケベック州議事堂の前面にはケベックの町の基礎を作り上げた偉人の像が飾られていて、荘厳な建物に歴史が感じられます。またガイドツアーによる内部見学で一般の方々でも朝食やランチを議事堂内の食堂で食べる事ができます。
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パノラマ動画

ロウアータウンのロワイヤル広場からパノラマ動画を徒歩で撮影しました。賑わう街中でストリート演奏しているアコーディオンの音色が響き渡ります。

バーチャルツアーのダイジェスト動画

古いヨーロッパ風の異国情緒あふれる街並みをバーチャルツアーでもご堪能下さい。

ナイアガラの滝とモンモランシーの滝

ナイアガラの滝は世界三大瀑布の一つでカナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州とを分ける国境的存在の滝です。ナイアガラはカナダ側のカナダ滝とアメリカ側のアメリカ滝からなっていて、今回はカナダ滝をパノラマ動画で撮影してきました。カナダ滝を真横から眺められるテーブルロックは、ナイアガラ観光では欠かす事ができない場所です。

対するモンモランシーの滝は、カナダのケベック州にある高さ83mの滝です。この高さはナイアガラの滝よりも落差が大きく、滝の上から見る景色はなかなかの絶景です。この滝の上には階段やケーブルカーで行く事ができ、吊り橋で勢いよく落ちる真下の滝を眺める事ができます。

IVRPA Quebec 2016 参加レポート

2016年6月

国際的なパノラマ写真アソシエーションのIVRPA(the International VR Photography Association)が開催する写真会議に参加してきました。この会議は、世界各国のパノラマ写真家やパノラマソフトウェア制作会社が年に1度集まり、最新のパノラマ制作ノウハウや最新の製品情報を発表し、パノラマに関する情報を共有する場となっています。

2016年は6月23日〜27日の間、カナダのケベックシティで開催され、約150名ほどの参加者が来訪していました。

以下、その中で印象に残った発表についてご紹介いたします。

ivrpa-quebec-2016

️Google

まずはGoogleです。Googleが取り組んだ事例紹介から始まりました。教育機関向けVRツール「Expeditions」のプラットフォームを使い、Cardboardを無償で世界各国の教育機関に提供し、教室にいながら「バッキンガム宮殿」や「グレートバリアリーフ」といったVR体験できる取り組みの紹介です。

次に、今後のVRへの取り組みとして、Google I/O Conference 2016でも発表されたVRプラットフォーム「Daydream」についての紹介がありました。DaydreamではVR体験を向上させるために、「スマートフォン」「ヘッドセット&コントローラー」「アプリ」の3つに取り組んでいるとの事でした。

Androidの次世代バージョン「Android N」では標準でVRモードが搭載され、VRをOSレベルでサポートします。様々なサービスや表現方法が増えていき、ハイクオリティなVR体験がより身近な存在となることに期待です。弊社でもDaydreamプラットフォームを活用して貢献できることを検討していきたいと思います。

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️krpano

ウェブでパノラマを上下左右に動かしながら閲覧するためにはパノラマに対応したプレイヤーが必要となり、Krpanoは最も広く知られているパノラマビュワーです。今回の講演ではkrpanoの基本的な使い方やxmlプラグインの作り方など多岐に渡る機能がワークショップ形式で紹介されていました。

GoPro

Gopro6台を使用する新製品OmniやAutopano Video 2.5の紹介が行われました。Omniは8Kまで撮影する事ができ、各カメラの同期がとられ、シームレスな360度映像を作成する事ができます。またAutopano Video 2.5では、Adobe premiereのプラグインが追加され、premiere上で水平調整やフレームサイズを調整する事が可能となりました。本機能追加でエクレクタンギュラー形式(360度動画の一般的な形式でアスペクト比が縦横2対1のサイズ)の状態から水平調整ができる様になり、後編集がより容易になりそうです。

更にVR体験を向上させるモダンエンジンが開発中で、ブラウザで動くオープンソースが2016年Q4に公開される予定と発表がありました。講演では画面に2人のレーサーが現れ、選択したレーサーの視点でパノラマ動画が再生されました。再生中にはもう1方のレーサーに切り替える事もでき、2つのパノラマ動画をマルチ再生するコンテンツとして紹介されていました。
現在、開発中のモダンエンジンとのことで今後どのような機能が追加されていくのか楽しみです。

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その他

初日にはDiscover Quebecと称してケベックシティ内を散策しながらパノラマ撮影を行なったり、Google Street Viewに関する講演や各社のパノラマ写真事例が次々と紹介され、刺激のある1週間となりました。また、IVRPA主催者が企画したモンモランシーの滝へのツアーも開催され、迫力ある滝の様子をこちらのページでケベックシティの街並みと共に紹介していますので合わせてご覧下さい。