2015年10月にリコーからThetaの第3世代であるTheta Sが、また11月にはコダック(日本での販売はマスプロ電工)からSP360の第2世代であるSP360 4Kが発売されました。それぞれ従来版と比較すると以下の様な改善点があり、一部の制作案件でも使用可能な画質になりつつあると考えています。
■高画質化:高解像度感化と高感度化
■ライブストリーミング対応:HDMI等でライブビューが可能に
■ボディが黒色に
Theta S と SP360 4Kのカメラスペック比較表
1台全天球撮影可能なTheta Sとアクセサリが充実したSP360 4K、カメラのスペックは以下のとおりです。
カメラ | Ricoh Theta S | KODAK PIXPRO SP360 4K |
---|---|---|
大きさ | 44 x 130 x 23mm | 41 × 50 × 38mm |
重さ | 125g | 103g |
動画の解像度・フレームレート | 1920×1080 pixel 30fps 元データは双眼魚眼 |
2880×2880 pixel 30fps 元データは一眼魚眼 |
ライブストリーミング対応 | HDMIとUSBで対応 | HDMIで対応 |
全天球化 | 1台にて全天球対応 | 垂直方向235度のため 全天球化には前面背面の2台必要 |
価格(税込み) | 42,800円 | 64,260円 |
コメント | ピクセル数的な解像度は従来版と変わっていないものの、センサーが変わったことによって昼夜ともに解像度感・高感度化が大幅に改善されています。マルチカメラを使用する場合は複数カメラによる視差の問題があるために近距離が撮影できないケースがありますが、そのようなケースでTheta Sを使用するのも良さそうです。 | 底面が映らない垂直235度のカメラですが、防水ハウジングやヘルメット装着用マウントなどのアクセサリが充実しており、スポーツなどのエクストリーム環境での撮影に向いています。また2台を使用する場合のダブルベースマウントも公式に発売が予定されており、専用ソフトウェア(パノラマ合成のスティッチ?)も今後発表される予定だそうです。 |
Theta S と SP360 4Kの作例比較
それぞれ会議室で約10秒ずつ撮影してみました。撮影の設定は自動モードです。以下に元データ、それぞれ公式アプリで2:1のエクレクタンギュラーに変換した動画、PanoPlaza Movieで同条件(1920×960ピクセル、30fps, 2Mbps)で変換・エンコードしたデータも掲載しておきますので必要に応じてご利用下さい。
公式アプリでエクレクタンギュラーに変換したデータ23MB26MB
カメラ | Ricoh Theta S | KODAK PIXPRO SP360 4K |
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オリジナルデータ | 双眼魚眼 23.1MB | 一眼魚眼 84.2MB |
PanoPlaza Movieで変換・エンコードしたデータ | 2.9MB | 2.9MB |
■Theta Sで撮影してPanoPlaza Movieにアップロード・エンコードした動画(オリジナル画質ではありません)
■SP360 4Kで撮影してPanoPlaza Movieにアップロードした・エンコードした動画(オリジナル画質ではありません)
動画内の大型のディスプレイのDELLというロゴや天井の模様のくっきり感や、画像全体の明るさや色調にて違いがあることがわかりますね。一つの例としてディスプレイのロゴの部分をズームしたスクリーンキャプチャを掲載しました。左がSP360 4Kで、右がTheta Sです。
それぞれ元動画は円形に映っており、Theta Sの方の解像度(映っている円形の面積)は大体480x480xπx2眼=460,800πで、SP360 4Kの解像度は1440x1440xπx1眼=2,073,600πです。この解像度の差がくっきり感には影響していると思われます。全天球を撮るならTheta S、足元や一部が不要ならばSP360 4Kという使い分けが良さそうですね。
パノラマライブストリーミングでの利用方法
Theta SもSP360 4Kもライブビューで確認できる映像フォーマットはTheta Sが双眼魚眼で、SP360 4Kが一眼魚眼になっており、(少なくとも当社が用いている配信システムでは)ともに2:1のアスペクト比であるエクレクタンギュラーフォーマットに変換する必要があります。