ヘッドマウントディスプレイ向け実写コンテンツ

2014年6月

新しい表示装置が出てくると、新しい(フォーマットに対応した)コンテンツが必要になります。例えば、4Kテレビが出てきたけど、4Kの放送やレンタルビデオ等は始まっていないため、あまり普及していないようです。最近流行のヘッドマウントディスプレイ・VRヘッドセットでも今後同じような状況が予想されます。米国のOculus RiftやソニーのProject Morpheus等が代表製品ですが、ゲームコンテンツを対象としており対応したゲームの発売が待たれています。これらの問題に対して、当社としてはヘッドマウントディスプレイに向けた実写のコンテンツを提供し、コンテンツ不足問題に対して取り組みたいと考えています。

Oculus Rift向けコンテンツ

Oculus Riftを代表としたヘッドマウントディスプレイの特徴に、没入感を感じられる広視野角とヘッドトラッキングがあります。これらの特徴を生かした実写映像として、以下の通りパノラマ動画とステレオパノラマ静止画の利用を提案いたします。ともに頭を回転させることでそちらの方向の風景を見られるので、まさにOculus Riftに適した実写コンテンツかと感じています。

パノラマ動画 for Oculus Rift

360度全方向が動画になっているパノラマ動画をOculus Riftで見られます。全方位が動画なのでその世界にいるかのような体感を得られ、必要に応じて背景音やナレーションを付加することで、さらなる臨場感を感じられるのではないでしょうか。当社では自動車や自転車から撮影した移動動画や、水族館や動物園内で固定・移動撮影したサンプルを作成してみました。

ステレオパノラマ静止画 for Oculus Rift

Oculus Riftではステレオ(立体)視を実現する為に、左目と右目で異なった映像を表示できます。これにより両眼視差を再現して、コンテンツの立体感を表現できます。同じ地点から2種類(左目・右目用)のパノラマ写真を撮影することで、ステレオパノラマ静止画を作ってみました。動画ではなく静止画ではありますが、ステレオになっていることで奥行き感や凹凸感を再現できており、空間や風景等のコンテンツに向いていそうです。なお、ステレオパノラマ静止画のサンプルコンテンツはパノラマプレーヤーであるKrpanoのウェブサイトにもありますので、Oculus Riftをお持ちの方はお試し下さい。

番外編:ステレオ視ロボット with Oculus Rift

ここまでくるとやりたくなるのが、ステレオ動画中継でしょうか。しかもヘッドトラッキングに対応することで、首を振りながら遠隔地の映像をリアルタイムに立体視したいですよね。そんなコンセプトで原理試作をしたのが、こちらのステレオ視ロボット。2台のウェブカメラが2軸のモーター上に配置されており、それらがOculus Riftのヘッドトラッキングにより操作され、そのロボットが見ている風景を見られるようになっています。

以上、Oculus Riftやその他ヘッドマウントディスプレイ・VRヘッドセット向け実写コンテンツを検討されている方の参考になれば幸いです。

「コンテンツ制作・配信ソリューション展」に出展します

2014年6月

カディンチェ株式会社は来週7月2日(水曜日)より東京ビッグサイトにて開催される「第2回 コンテンツ制作・配信ソリューション展」に出展いたします。

弊社ブースではパノラマバーチャルツアー制作プラットフォーム、PanoPlazaのご紹介に加えて、新たな取り組みである360度全方位パノラマ動画コンテンツもご覧頂けます。

また、Facebookによる買収ニュースで話題となった最新ヘッドマウントディスプレイ、Oculus Riftも併せて展示予定です。360度全方位見渡せる静止画・動画をこれまでにない没入感で体験して頂けます。是非、お気軽にお立ち寄り下さい!

イベント概要

弊社ブース位置

  • 出展ゾーン名:制作・編集 技術ゾーン
  • 小間番号:15‐49


PanoPlaza デモムービー


360度全方位パノラマ動画 デモムービー

パノラマ動画カメラ

2014年6月

パノラマ動画専用カメラの出現

当社ではパノラマ動画の撮影には、GoProというアクションカメラを6台使用した撮影機材を用いて撮影しています。この撮影手法では、完成動画の解像度が高くなるメリットはあるものの、6つの動画ファイルをパノラマ合成するという手間がかかるのも事実です。パノラマ動画が人気が高まる昨今、いよいよハードウェアで撮影からパノラマ合成までしてくれる、パノラマ動画カメラの発表が相次いでいます。ここでは個人的な備忘録の意味も込めて、パノラマ動画専用カメラの概要をまとめておきたいと思います。
追記:2014年10月29日にTHETAを追加。
追記:2014年12月16日にSP360を追加。
追記:2015年1月6日にALLIE、Project Beyondを追加。

RICOH THETA m15

2014年11月14日に発売が決定し、開発者向けのAPI/SDKの公開も決まっているのが、RICOH THETA m15です。詳細については、「動画に対応したRICOH THETA m15 (第2世代)新発売」としてブログ記事を記載しましたが、他のパノラマ動画カメラに先駆けての発売や、個人利用としては実用レベルである画質など、他の製品と比較して1,2歩先を行っているでしょう。

・スペック:カメラは2つ、各約180度(魚眼)の視野角。
・発売時期:2014年11月14日
・価格:3.5万円
・動画解像度:最大 1920p/15fps
・大きさ・重さ:42mm(幅)×129mm(高さ)×22.8mm(17.4mm※4)(奥行き)・約95g
THETA (開発会社:日本)の詳細ページはこちら

KODAK PIXPRO SP360

KODAK PIXPRO SP360 は11月21日に KODAK(販売代理店:マスプロ電工)から発売された手のひらサイズのアクションカム。最大の特徴はその画角と付属ソフトの性能です。F2.8の明るい単焦点レンズを備え、FullHD 360°×214°の全方位視野での撮影が可能です。Wi-Fi経由でPCにデータが転送できることに加え、iOSおよびAndroid用のアプリからもコントロールが可能です。「防水ハウジング」「自転車用ヘルメットストラップマウント」など多様なアクセサリーも嬉しいですね。

・スペック:カメラは1つ、水平方向360度、垂直方向214度。耐衝撃、防滴、防塵、耐低温。
・発売時期:2014年11月発売済み。
・価格:オープン価格(マスプロWebサイトでは税別41.500円)
・動画解像度:Full HD撮影1920×1080:30fps
・大きさ・重さ:手のひらサイズで103グラム
SP360(販売代理店:日本)の詳細ページはこちら

Bublcam

Bublcamはここに掲載しているカメラの中では最も早く発売が予定されており、先行者利益のようなものを獲得できる可能性が高そうです。球形のデザインは洗練されており、スマホアプリ、開発者向けのSDKやAPIの提供、クラウドでの保存等にも対応予定で、一般ユーザから開発者など幅広いユーザに受け入れられそうです。BublcamのKickstarterでは目標額10万カナダドルに対して、約35万ドルの獲得が決定してますね。

・スペック:カメラは4つ、各190度の視野角。
・発売時期:2014年9-10月
・価格:579 米ドル
・動画解像度:最大 1080p/15fps
・大きさ・重さ:半径4cmの球状・280グラム
Bublcam (開発会社:カナダ)の詳細ページはこちら

360cam

360camを開発しているのはフランスのGiroptic社で、この会社は360camの前にはGirocamというパノラマ静止画カメラを開発・販売していました。実は弊社も1台所有しており、パノラマ静止画の合成処理がハードウェア内で出来ることから重宝しておりました。パノラマに関する実績という意味では360camは安心かと思っています。また、360camのKickstarterでは目標額15万ドルに対して、すでに110万ドル(2014年6月現在)の獲得を達成しており、開発に必要な資金力も十分なのかもしれません。アクセサリーも水中用レンズキャップや、ストリーミング用付属デバイス、スマホアプリ等充実しており、もっとも高機能と言えるでしょう。

・スペック:カメラは3つ、各185度の視野角、合計360度x300度。防水。
・発売時期:2014年11月
・価格:249 米ドル(アクセサリー無し/Early Bird版)から
・動画解像度:2048×1024/30fps
・大きさ・重さ:手のひらサイズで180グラム
360cam (開発会社:フランス)の詳細ページはこちら

CENTR

CENTRの開発は元アップルのエンジニアが中心となっているそうです。円筒形のデザインが示す通り、水平方向は360度カバーできますが、天頂と底面は撮影できないようです。スマホアプリからCENTRの各種設定も変えられるようになるようです。CENTRのKickstarterでは、目標額90万ドルに対して60万ドルしか集まらず、こちらでの資金獲得は失敗に終わってしまったのが残念でした。

・スペック:カメラは4つ、各110度の視野角
・発売時期:2015年2月
・価格:399 米ドル
・動画解像度:6900×1080/30fps
・大きさ・重さ:半径約3.5cmの薄い円筒状・250g
CENTR (開発会社:アメリカ)の詳細ページはこちら

360fly

360flyは、米Voxx社とEyeSee360社が共同開発したパノラマビデオアクションカメラ。特徴としては他のパノラマカメラと異なり広角魚眼レンズを1つだけ搭載したカメラです。またサイズもテニスボールサイズ大なので、他のパノラマカメラと比較すると、小さめであることも特徴的です。使用用途はヘルメット上部につけてのスポーツや、テーブルの中央に置いてパーティーの撮影など一般消費者向けです。

・スペック:カメラは1つ。合計360度✕240度
・発売時期:2014年末
・価格:約400 米ドル(予想)
・動画解像度:不明
・大きさ・重さ:手の平サイズの球体・120g
360fly(開発会社:アメリカ)の詳細ページはこちら

Ladybug5

Ladybug5はカナダ、バンクーバーにあるPointGrey社の製品で、同社の全方位パノラマデジタルカメラLadybug3の後続機です。五角形で縦長のボディに6台のレンズが付き、上方含めた360度の領域をカバーします。値段帯などからハイエンド向けの製品で、消費者というより企業向けの製品と言えます。

・スペック:カメラは6つ。合計360度✕180度
・発売時期:発売済み
・価格:約20,000 米ドル
・動画解像度:2448×2048/10fps
・大きさ・重さ:五角柱型・3000g
Ladybug5 (開発会社:カナダ)の詳細ページはこちら

iSTAR

iSTARは、イギリスのNCTech社の製品で、本体に4つのカメラとレンズが配置され、本体内部でパノラマが合成される。いくつかモデルがあり、iSTAR Fusionでは静止画のみ、iSTAR Pulsarでは動画撮影機能に加え、PCやモバイルへのライブストリーミング機能もつく。タブレットなどからのWi-Fi操作等も可能。Ladybugシリーズと比較すると少々安価ですが、こちらもハイエンドで企業向けの製品であると言えます。

・スペック:カメラは4つ、各137度の視野角。合計360度✕275度
・発売時期:発売済み
・価格:7,995 / 13,495 米ドル
・動画解像度:10,000×5,000px±7%
・大きさ・重さ:約10㎝の立方体型・1400g
iSTAR(開発会社:イギリス)の詳細ページはこちら

ALLIE

ALLIEは米国にあるIC Real Texh社の製品で、水平方向360度かつ垂直方向360度を撮影できるパノラマビデオカメラです。WiFi機能を搭載しており、専用アプリ上で撮影した映像をiPadやiPhone・Androidなどで閲覧する事ができます。ラインナップはプロ用/ホーム用/ホビー用の3種類に分かれているので、目的に沿ったデバイスを選定できます。

・スペック : カメラ2つ、水平方向360度、垂直方向360度、8倍デジタルズーム(Pro)、4倍デジタルズーム(Home/Play)、ifi機能、撮影時間2時間(SD使用時)
・発売時期 : ALLIE Pro(2015年3月)、ALLIE Home(2015年後半)、ALLIE Play(2015年後半)
・価格 : ALLIE Pro(3000米ドル)、ALLIE Home(500米ドル未満)、ALLIE Play(500米ドル未満)
・レンズ : 13メガピクセル(1レンズ辺り)、720dpi
ALLIE(開発会社:米国)の詳細ページはこちら

ALLIE Pro

Project Beyond

Project Beyondは韓国のSamsung Electronics社で開発中の製品で、3Dの360度動画を撮影できる高精細カメラです。合計17台のHDカメラで全方位の3D動画を記録でき、さらにリアルタイムでVRヘッドセット「Gear VR」に映像をストリーミング再生可能なため、イベントなどをリアルタイムで配信できます。は現在は開発段階であり、発売は未定です。

・スペック : カメラ17台、水平方向360度、垂直方向360度、3D撮影、ストリーミング再生
・発売時期 : 未定(開発段階)
・価格 : 未定
・カメラ : 35メガピクセル(1カメラ辺り)
・大きさ : 直径約6インチ(約15cm)
Project Beyond(開発会社:韓国)の詳細ページはこちら

 

弊社ではパノラマ動画の撮影・編集サービスも実施しております。サンプル動画等もありますので、ご興味のある方はPanoplaza Movie: 360度全方位パノラマ動画のページもご覧下さい。

IVRPA Las Vegas 2014 参加レポート

2014年6月

2014年5月25日から31日にアメリカはラスベガスで開かれたLas Vegas 2014: The International VR Panoramic Photography Conference (国際バーチャルリアリティー写真会議)に参加してきたのでご報告したいと思います。この会議は去年はIceland 2013としてアイスランドで開かれ、そのレポートはこちらにあります。今回も昨年同様約150人の参加者が集まりました。開催地がアメリカということで、GoogleやMicrosoftといった巨大IT企業も参加してたのも今回の特徴でした。


発表者の割合は以下の通りで、この発表構成や会議名からもパノラマ制作の最新ノウハウ・最新製品の情報交換の場と理解できると思います。会場で発表を聞きながら、各聴衆のマシンではパノラマ写真編集やパノラマ動画合成のソフトが動いているというのもこの会議の特徴かと思います。
・パノラマ写真家・360度動画作家:50%
・パノラマソフトウェア制作会社:25%
・パノラマハードウェア制作会社:10%
・Google・Microsoft:10%
・その他:5%
以下では、発表の中でも特に弊社としてチェックしたものをリストアップしてみました。

パノラマ動画制作:xRez Studio

xRez Studioはディズニーやソニーで映像制作を行っていたデザイナーと、博物館向けに立体映像を提供していた写真家によって構成されているアメリカの制作スタジオです。制作している作品がどれも高品質でアーティスティックなもので、感情を揺さぶる映像でした。同社のFullDome Theatre Produtionのページではドームへのパノラマ動画投射のデモビデオも掲載されています。

パノラマ動画制作:deep360

Deep Incはカナダの映像・ゲーム制作会社で、様々な作品にパノラマ動画を上手に利用していることで聴衆の関心を集めていました。彼らのウェブサイトには辺境地で撮影したパノラマ動画のデモが掲載されているのとともに、Flipboard向けのコンテンツ360 Filmmakingも載っていましたので、これらを参照されると面白いかと思います。


パノラマ動画空撮:Shadowview Foundation

Shadowview財団は無人航空機を使用して野生動物の監視等に取り組んでいるオランダのNGOです。スタッフにはプロの写真家や無人航空機を担当していた退役軍人なども所属しており、密猟や動物保全等の活動をされています。今回の発表では、アフリカの自然で空中パノラマ(Drone 利用)と地上パノラマを撮影して、その間を行き来出来るパノラマツアーを披露していました。ハイテクなNGOというのが面白いですね。

3Dスキャン:Matterport

Matterportは専用機械やスマートフォンを使って空間を3Dスキャンするシステムを研究開発しているアメリカのベンチャーです。これまで空間のスキャンをするには測量会社が使用しているような数百万円-数千万円する3Dスキャナーが必要でしたが、Matterportは4500ドルでMatterport Pro 3D Cameraを販売しています。また、専用の3Dスキャナーだけでなく、スマートフォンでも同様のことを出来るようにと、GoogleのProject Tangoにこの会社が参加していることは最近日本のメディアでも発表されて有名になりました。

その他の発表

Googleはお店フォトなどのBusiness向けソリューションの説明、MicrosoftはPhotosynthのデモ、KolorやVideostitchはパノラマ関連ソフトウェアのアップデートの紹介、リグメーカーのFreedom360や360Herosはいろんな場所でのパノラマ動画撮影やその際のノウハウ紹介をしていました。これら一般的なパノラマ関連製品の概要は去年のレポートをご参照下さい。

カディンチェの発表

このような発表の中で、当社は”PANOPLAZA: PANORAMAS FOR SHOPS, FACILITIES, & MOUNTAINS“と題して、CTOの内田が発表をしました。Panoplazaでのこれまでの各百貨店での取り組み、北米マーケットでのBrowsewellの展開、現在開発を進めている新業界向けPanoplaza、そして山脈監視用の超高解像度パノラマ撮影装置等を紹介しました。他の発表が作品性の高いものや、完成されているソリューションの紹介が多かったのに対して、まだ研究開発中の技術的な話題も多くさせて頂きました。

今後のパノラマ関連国際イベント

来年のIVRPAのイベントはデンマークで予定されているらしいので、パノラマやバーチャルリアリティーにご関心のある方は参加を検討されてはいかがでしょうか。また、今年の9月3日-5日にフランスのパリではPanoTools Meetingという類似イベントも開催されるそうなので、来年まで待てない!という方にはこちらもお勧めです。