ITベンチャーにとっての海外スタートアップイベント参加

2012年12月

Startup Asia, Echelon, ICT Spring, & Open Web Asia

2012年はカディンチェ・Panoplazaにとっては、海外スタートアップイベントによく参加した年になりました。
・2012年2月: Startup Asia (シンガポール) プレゼンテーション+デモブース
・2012年6月: Echelon (シンガポール)デモブース
・2012年6月: ICT Spring (ルクセンブルク)プレゼンテーション+デモブース
・2012年12月: Open Web Asia (中国・海南島)プレゼンテーション
いまだにアメリカでのイベントに参加したことがないのは問題ですが、少なくともアジアやヨーロッパでは多少の経験も得られたので、日本発ITベンチャー企業にとっての海外スタートアップイベント参加について考察してみたいと思います。ちなみにイベントによっては、デモブースだけの出展ではあまり効果が出ないケースもあるかと思うので、プレゼンテーションにこだわるのも良いかと思います。

自社(サービス)の広報

ベンチャー企業にとっては、自社や自社サービスの対外的露出を上げることは販売や広報という視点から重要です。B2Cのビジネスであればより多くの潜在的ユーザに知ってもらう必要があるし、B2Bビジネスであればより多くの顧客候補との接点が必要になります。したがって、大衆の前でプレゼンテーションを出来るということは大変貴重な機会になります。また、こういった海外スタートアップイベントではメディアの方も参加しており、イベントについて記事を書かれることも多く、会場での直接的な露出だけでなく、後日メディアを通した露出というのも期待できます。

これらの海外イベント参加の費用対効果を考えてみましょう。開催地にもよりますが、参加費はだいたい3万円程度で、渡航費・滞在費は1人当たり約15万円、1社1名で参加した場合にはだいたい20万円弱の費用がかかります。一方で、日本国内のベンチャーや業界向けの雑誌等に広告記事を掲載する際には大体1ページ40-50万円したり、日本国内のイベントに参加した場合は30-50万円は最低でもかかってしまいます。日本のベンチャー企業の多くは日本マーケットを対象とするビジネスをされているので、国内での露出を増やすために国内メディアや国内イベントに投資するのは正当でしょうが、少し視点を変えて、海外で発表してそれを逆輸入して日本での露出を上げるという、凱旋的広報も手段の1つになるのではないかと思っています。

自社サービスのオリジナリティの客観的考察

他社との競争をすることで、自社をもっと知られるという効果もあります。海外のイベントではなおさらで、会う人会う人「お前はどこから来たのだ?何をしているのだ?」と聞かれるので、客観的に自分たちを見つめ直す機会になります。また、国によって流行っているサービスも異なり、日本や韓国などはネットワーク常時接続を前提としたサービスが、その他の地域ではネットワークにあまり依存しないサービスが流行っていたりします。おおざっぱな言い方をすると、日本などはインフラとしても消費者としても先進国であり、その他各国が数年後に経験することを先取りして経験をしているということからも、最先端として注目を集めます。

ただ、最先端であるサービスが経済的にも儲かるサービスという訳ではありません。中国や東南アジアの一部では、アメリカで流行ったサービスのコピー版がもっとも成功していたりします。この場合、起業家に必要なのはクリエティビティではなく、いかに良いものを素早く・完成度高くコピーできるかということになります。こうなってしまうと起業家にはオリジナリティを追求するモチベーションが減ってしまい、類似サービスがたくさん出てくるというツマラナイ状況になってしまいます。

マーケティングリサーチ

海外イベントに参加すると、自然にその国や周辺国での展開可能性についても考察してしまいます。自分たちが提供するサービスがその国で受け入れられるかというのは、イベントへの出展の正否にも繋がる訳で、その国でのネットワークインフラ、消費者環境、ビジネス状況等を考察しながらの参加になります。また特にアジアでのイベントにおいては、各国のビジネス環境の比較等は良く議題にあがる話題であり、それ自身が良質なマーケティングの第1歩になったりします。

また、同時に東京や日本が如何に恵まれたマーケットであるかを知る良い機会にもなります。購買力のある多くの人間や企業が集中しており、ユーザの多くが新しい物好きだったりします。先日の海外イベントで学んだのですが、オンラインゲームやスマートフォンアプリケーションに対して最もお金を使っているのは日本人であり、その規模はその他アジア各国の群を抜いています。また、そういったマーケット環境にあり、かつ以前よりテクノロジーに強い人が多い日本では、ベンチャー企業の多くが良質なのではと感じました。世界のイノベーションの中心がシリコンバレーだとしたら、アジアのイノベーションの中心は東京になれるのではないかと思ったくらいです(特に最近はGreeやDeNAの存在感が大きいですね)。

まとめ

以上のように今年の海外スタートアップイベント参加で学んだことをまとめてみました。ここで敢えてスタートアップイベントと述べたのは、スタートアップイベントを卒業した企業は、個別具体的なテーマを掲げているその他のイベント(広告系ならAdtec、家電系ならCESなど)に参加する方が良策かもしれないからです。弊社はまだそのようなテーマを絞り込んだイベントへの出展は行えておらず、場合によってはテーマ特化型のイベントの方が費用対効果は高いかもしれません。このあたりのテーマ特化型イベントや、アメリカでのイベントへの参加は今後の課題としてあげておきたいと思います。

Open Web Asia 2012でのプレゼンを終えた、中国海南島のホテルの部屋より
soko aoki

世界中の素敵なパノラマコンテンツ その1

2012年12月

こちらの記事(パノラマを利用したアプリ紹介 | PanoPlazaで)パノラマを活用したiOSのアプリについて、いくつかご紹介しました。今回は、パノラマを使ったWebコンテンツやその他コンテンツについてご紹介します。

パナソニックの5面ディスプレイパノラマ3D映像空間

パナソニックとユネスコは、ユネスコ世界遺産センターと世界遺産の保護や次世代教育を目的としたパートナーシップを結んでいます。パナソニックの最新3D技術を駆使した5面のプラズマディスプレイで作り出すパノラマ3D映像空間「DIVE into World Heritage」が開発され、11月6日から8日まで京都・国立京都国際会館で開催された「世界遺産条約採択40周年記念最終会合」で展示されました。
下の映像では、「DIVE into World Heritage」に加え、グランドキャニオン、イエローストーン、ストーンヘンジなどの世界遺産に足を運び、5台の3Dカメラを1枚のプレートの上に同心円状に並べて特殊撮影するメイキング映像をご覧になることが出来ます。

【関連リンク】
・ パナソニックのユネスコ世界遺産パノラマ3Dが注目集める – トレンド – 日経トレンディネット
・パナソニックの5面のプラズマディスプレイが創り出すパノラマ3D映像空間「DIVE into World Heritage 3D」 | トピックス | ニュース | パナソニック企業情報 | Panasonic
・ユネスコ世界遺産センターで世界遺産のパノラマ3D映像を上映 [Panasonic]

超高解像度撮影サービスFANCAM

FANCAMとは、株式会社フロンティアインターナショナルの提供する、スポーツイベントやライブ会場で会場を360°撮影し、写真をつなぎあわせたプロモーションサイトを作成するサービスです。一人ひとりの顔が見えるくらいの超高精細解像度(500億ピクセル!)で大規模なイベントを360°パノラマ撮影することにより、会場の迫力と興奮をインターネット上に残すことが出来ます。


現在、欧州を中心にコンテンツは展開されており、サッカーやテニス、ラグビーなどの試合の他、U2のワールド・ツアーのパノラマコンテンツを見ることが出来ます。つい先日、日本初のFANCAM導入例として、倖田來未のライブにおけるFANCAMコンテンツが公開されました。サイトを訪問すると、倖田來未からのビデオメッセージや、パノラマ写真に写っている自分をタグ付けする機能、他にもパノラマコンテンツ上でのクイズなどのコンテンツが用意されています。

【関連リンク】
・【KODA KUMI × FANCAM】Koda Kumi Premium Night〜Love & Songs〜@日本武道館
・FANCAM
・FANCAM | Japan Debut

空から撮影した東京のパノラマ

チェコ在住の米国人写真家Jeffrey Martin氏が来日し、朝日新聞社ヘリ「ゆめどり」で東京上空500mを飛び、東京スカイツリーやレインボーブリッジなどのパノラマ写真を撮影しました。パノラマ写真は通常、6枚程度の写真を合成し1枚の大きなパノラマ写真を合成しますが、三脚も安定しない空中で腕を機械のように動かし、約1時間のフライト中に1千枚程度の写真を撮影したそうです。
通常のパノラマ写真でも上手く合成できずにぶれてしまうことも多くの場面で遭遇します。しかし、これは見事な全方位を網羅したパノラマ写真となっており、一見の価値はあると思います。


【関連リンク】
・ユニークシティ東京、パノラマに チェコの写真家が空撮 – 朝日新聞デジタル
・360cities
・朝日新聞デジタル:本社ヘリから撮影したパノラマ写真「東京スカイツリー」:Jeffrey Martin撮影

パノラマ撮影キット、Pixeet レビュー(後編)

2012年12月

前回のブログでは、先日購入したパノラマ撮影キット、Pixeetの基本的な操作方法についてレビューをまとめてみました。後編では、他の手法で撮影したパノラマ写真との画質比較や、実際のビジネスでどのように活用できそうか、私なりのアイディアをまとめてみたいと思います。

画質はそれほど悪くない

Pixeetのサーバー上で合成されたパノラマ写真のサイズは2,048ピクセル × 1024ピクセルなので、横2:縦1のエクレクタンギュラー形式です。アプリの設定画面から、iPhoneのカメラロール内にJPEGファイルとして書き出すことができます。

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パノラマ写真の上下に帯のように伸びているのは、Pixeetのロゴマークですね。魚眼レンズの死角になっている天地の部分に自動的にロゴマークを挿入する処理を行なっているようです。

パノラマ写真の画質比較

過去にブログで一眼レフ+魚眼レンズとGirocamのパノラマ写真比較を行ったことがありますが、今回も同様の地点からPixeetで撮影してみました。(当然、前回のパノラマ写真は今回とは異なる天候条件下で撮影していますので、あくまで参考としてご覧下さい)

Pixeetで撮影したパノラマ写真

Pixeet

前回のレビューの通り、撮影は非常に簡単。その反面、魚眼レンズを通しての撮影となるため、どうしても全体的にノイズが入ってしまっていますね。PCからの閲覧を前提とした、高品質なバーチャルツアーコンテンツの利用には向いていませんが、タブレットやスマートフォンで、その空間のおおよその雰囲気を把握するには十分使えそうです。

Photosynthで撮影したパノラマ写真

今回は新たにPhotosynthも比較対象に加えてみました。PhotosynthはMicrosoft Researchの画像処理技術をベースに開発されたiPhoneアプリで、4,096ピクセル×2,048ピクセルの高画質なパノラマ写真を作ることができます。しかし、上下左右360度を全てカバーしようとなると、合計で30回以上自動認識による撮影(またはタップ)を行う必要があるので、撮影が結構大変です。。また、自動認識が必ずしも上手くいかない場合もあります。

(参考)Girocamで撮影したパノラマ写真

Girocam

(参考)一眼レフ+魚眼レンズで撮影したパノラマ写真

一眼レフ+魚眼レンズ

実ビジネスでの活用方法

例えば、不動産物件紹介などの用途であれば、Pixeetで撮影したパノラマ写真は十分なクオリティだと言えます。また、撮影コストも1地点当たり1分程度・4回の撮影なので、業務に支障を来たすほど労力・時間がかかるわけではなく、決して大量物件の撮影も不可能ではないと思います。

事実、Pixeetのウェブサイト上では、不動産の物件紹介用途と思われるコンテンツが数多く公開されているので、海外では既にこういった利用方法のユーザーが少しずつ増えているのかもしれません。(事実、不動産のマーケティングツールとしてPixeetの活用を勧めるブログがありました)

ここからは私個人の妄想になりますが、もし大規模な不動産ポータルサイトで本格的に導入する場合は、やはり物件データベースと連携した専用アプリの開発が必要になるのではないかと思います。と言うのも、この専用アプリを営業マンに配布すれば、パノラマ写真撮影作業、完成したパノラマコンテンツと物件の紐付け作業、公開処理までをほぼ同時に行えるため、その後の業務プロセスを大幅に簡略化することができるからです。更に、先日発表させて頂いたパノラマコンテンツ制作・運用のための専用プラットフォーム「PanoPlaza for Portal」と組み合せることで、パノラマ写真が撮影できるクライアントサイドの専用アプリから、バックエンドサイドのパノラマコンテンツ管理システムまでをエンドツーエンドでご提供することができます。

これまでにも、パノラマコンテンツは不動産サイトでの利用に適していると言われてきましたが、パノラマ写真の撮影コストや技術的な難易度の高さから、なかなか大規模な導入までには至っていません。しかし、これらの課題が徐々に解決されつつある今、リッチコンテンツな次世代不動産ポータルサイトが誕生する日も近いかもしれませんね。

iOS6におけるパノラマ写真撮影

2012年12月

こんにちは。先日、iPhone5でのパノラマ撮影機能を搭載したことをこちら(iPhone5にパノラマ撮影機能が搭載!)の記事で紹介しました。iOS6では、iPhone5とiPhone4Sでパノラマ写真を撮影することが出来ます。今回の記事では、iPhoneに標準搭載されるiOS6でのパノラマ写真撮影についてご紹介します。

iPhoneのパノラマ撮影機能によって撮影をしたパノラマ写真は、最大240度までの広い角度に加え、解像度は最大28メガピクセルもの美しさとなります。これを機によりパノラマ撮影が身近になり関心が高まるのでは、と期待しています。

パノラマ撮影した画像を紹介

こちらでは、iPhone4Sのパノラマ撮影機能を使って撮影したパノラマ写真を何枚か紹介したいと思います。それぞれの写真をクリックすると、もっと大きいサイズでの写真をご覧いただけます。

 

夕暮れのお寺で撮影したパノラマ写真です。

多摩川の橋の上から撮影したパノラマ写真です。

早朝の横浜のパノラマ写真です。朝日が綺麗でした。

撮影はiPhoneをゆっくり動かすだけ

iPhone でのパノラマ写真の撮影方法を紹介します。iPhoneでの撮影はiOS6のiPhone4SとiPhone5のみに現在対応しています。カメラアプリを立ちあげて、「オプション」より、「パノラマ」をタップします。すると下のような画像がカメラアプリ上に表示されるので、撮影ボタンを押してカメラを矢印の方向にゆっくりと動かします。右の端まで撮影をすると最大240度のパノラマ写真を撮影することが出来ます。また、矢印をタップすると撮影の向きを逆にすることができます。iPhoneを横にすると、縦方向のパノラマ写真撮影にもなります。撮影のコツとしては、次の3つがあります。
・iPhoneが上下にずれると歪みとして黒く途切れてしまいます。そのため、水平に動かすことに注意します。
・ゆっくりと横に動かします。
・iPhoneを逆方向に動かすと撮影が終了してしまします。最後まで撮影しきるために逆方向に動かさないようにします。

撮影した画像をPanoPlazaに取り込む

せっかくなので、今回ご紹介したパノラマ写真を、PanoPlazaにアップロードしてバーチャルツアー化してみました。iPhoneに搭載されたパノラマ写真撮影機能のみでも、迫力を伝えるのには十分なレベルであることがわかります。是非御覧ください。

関連リンク

Panorama Virtual Tour Platform Specialized for Portal Website

2012年12月

Press Release

5th December 2012
Kadinche Corporation

Panorama Virtual Tour Platform Specialized for Portal Website

-Supporting Clients Installing Panorama Contents-

Kadinche corp. in Japan starts to provide “Panoplaza for Portal” a virtual tour contents builder for portal website. As the first stage, Shanon Inc in Japan has adopted this Panoplaza as a “Virtual Event Platform”.

Background:

Panorama contents had been utilized as eye-catchers in websites especially in the field of real estates, hotels, and wedding venues. One of the problems in these panorama contents is that the panorama contents had not been integrated with other essential data and information on many portal websites. Panoplaza for Portal let our clients use panorama contents as a data platform and create attractive websites and applications.

Characteristics:

1, Utilizing Panorama Contents in Collaboration with Existing System

Panoplaza for Portal is designed and implemented so as to integrate with clients’ existing CRM and CMS using APIs. Our clients can utilize not only their users and contents management mechanism but also realize the access tracking and user analysis from panorama virtual contents.
– CRM: Customer Relation Management
– CMS: Contents Management System

2, Multimedia Contents on Panorama Virtual Tours

Panoplaza for Portal can handle multimedia contents such as movies, slides, and external html pages in the virtual contents. Since the system runs on the global and fast cloud service platform Heroku and Amazon Web Service, the viewers can expect light and quick response of virtual contents from various devices including PCs, mobiles, and tablets.

Introductuion Example: Shanon Inc.

Shanon Inc based in Tokyo Japan is a private company providing marketing management platform. They have adopted the Panoplaza for Portal to be integrated with their marketing platform and started to provide “Virtual Event Platform” on 4th December 2012. The visitors to the Virtual Event Platform can view and download contents in virtual booth of exhibition and trade show. Panoplaza for Portal has been integrated with Shanon’s system by using user management and analysis tracking mechanisms.



パノラマ撮影キット、Pixeet レビュー(前編)

2012年12月

画質と手間のバランスがとれたPixeet

今回は、フランスのPixeet社が提供するパノラマ撮影キットおよび専用アプリをご紹介したいと思います(Girocamもそうですが、フランスも含めてヨーロッパにはパノラマやカメラデバイスの製造・開発に取り組んでいるベンチャー企業が多いイメージがあります)。以前からその存在は何となく知っていたのですが、ふとしたきっかけで改めてサイトを見たところ、以下2点に強い興味を持ちました。

  • 1. 魚眼レンズにも関わらず、従来に比べて画質が良い
  • 2. 4ショットの撮影で360度パノラマ写真ができる

Pixeet

これまでにもiPhoneに装着するタイプの魚眼レンズを幾つか試してみたところがありますが、どれも画質がイマイチ。ワンショットミラーはもっと残念な感じです。ところが、Pixeetのデモコンテンツを見る限り、結構、いや、かなりきれいに撮れている。これが興味を持った最も大きな理由です。

しかし、仮に画質が良くとも、それに比例して手間がかかってしまってはあまり意味がありません。この点についても、Pixeetは4回の撮影で全方位がカバーできるとのこと。これは期待できるかも?と思い、早速、社長に頼み込んで発注してもらうことになりました。

キットが到着!

注文から2日後にはキットが到着。決済はPayPalですが、発送は国内からなので、早いですね。主な中身はケースと魚眼レンズの2つ(写真左)。


実際にiPhoneに装着してみるとこんな感じですね(写真右)。魚眼レンズは、ケースとマグネットで接着する仕組みになっています。

早速、試し撮り

Step1 : 撮影の準備

App StoreからダウンロードしたPixeet専用アプリ(無料)を起動します。そう、実はこのアプリこそが肝心で、最適化された魚眼レンズと組み合わせて使用することで、少ない撮影回数で、より高画質なパノラマ写真を作成することを可能にしているのです。このアプリを立ち上げると、メニュー画面が表示されます。ここから「新規パノラマ」、「4ショット 球状パノラマ作成」へと進みます。最後に保存するアルバムを選ぶと、いよいよ撮影画面になります。

Pixeet
Pixeet

Step2 : 4回の撮影

撮影モードのユーザーインターフェースは工夫されていて、画面中央に見える正方形の枠に対して、垂直方向と水平方向のグリッド線がちょうど合うようにiPhoneの位置を調整します。これがピッタリ重なると、線が緑色に変わり、自動的に3秒のカウントダウンが始まります。位置を固定して3秒間持ち続ければ、写真のシャッターが下りて、無事、1ショット目が完了となります。その後、画面に右に回るよう指示が出るので、iPhoneを右に90度向けて、先ほどと同様に位置合わせを行ない、撮影します。このようにして、右回りで4回撮影が終われば、終了です。

Pixeet
Pixeet

Step3 : アップロードと合成

あとは、アプリからアップロードするだけです。4枚の写真をつなぎ合わせて1枚のパノラマ写真に合成する処理はPixeetのサーバー上で実行しているようで、ネットワーク環境が必要になります。3G回線ではちょくちょくエラーメッセージが出ているので、WiFi環境のほうが安定していて良さそうです。3~4分ほど待つと、自動的にpixeet.com上にページが生成され、そこにキューブ変換後のパノラマ写真を見ることができるようになります。もちろん、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア上での共有も可能です。尚、より詳細な操作方法はこちらのヘルプページにまとまっています。

完成したパノラマ写真はこんな感じです。

なかなかきれいに撮れてますねー。次回の後編では、異なる方法で撮影したパノラマ写真との画質比較や、実ビジネスでの活用アイディアについてまとめてみたいと思います!

高層ビルの最上階からTiltShift + Time Lapse撮影

2012年12月

先日、都内某所の高層ビル最上階から、ギガピクセルパノラマ撮影のお仕事がありました。このパノラマ写真自体は、お客様社内でのご利用が目的のため公開できませんが、当日は晴天であまりにもキレイな景色だった他ため、ギガピクセルパノラマを撮影中にもう一台のカメラを使ってちょっとした動画を作ってみました。作った動画がこちらです。↓

Tilt Shift(ティルトシフト)+ Time Lapse(タイムラプス)で動画作成

Tilt Shift(ティルトシフト)とは、元々Tilt Shift Lensという特殊なレンズを指す言葉のようです。元々は、難しいアオリ撮影で歪みを補正するために工夫されたレンズで、レンズ自体を上下にズラす事ができます、不思議な動きをします。これによってレンズの光軸とセンサー面を意図的にずらし、像の歪みを発生させます。撮影対象を大きく見上げたり見下ろしたりする構図で、この像の歪みを逆に利用する為のレンズです。また、この原理を利用してレンズを斜めにすることで、ピントの合う範囲を調整することができます。アオリ撮影での奥行きに幅のある場面で、ピントの合う範囲を広げることができるのです。レンズの特徴は、こちらの動画を見るとよく分かります。↓

Photoshopで、Tilt Shift レンズで撮ったような加工を

このレンズの効果を逆に利用して、景色や街並を遠目で撮影したときに撮影対象をまるで「ミニチュア」のように写すことができます。数年前にけっこうなブームがあり、最近でもネット上で良く見かけます。ヨーロッパの街並や大都市の遠景が、まるでジオラマのように写った不思議な写真を見た事がありませんか?最近ではこういった表現をしている写真自体を「Tilt Shift(ティルトシフト)」と呼んでも違和感がないくらい、この言葉と表現手法が定着しているように思います。
さて、この「Tilt Shift(ティルトシフト)」レンズがないと、こういう素敵なかわいい写真は撮れないのかと言うと、ぜんぜんそんなことはありません。TiltShift撮影専用のiPhoneアプリ :「TiltShift Generator」というアプリをはじめ、TiltShift効果をつけられるカメラアプリもたくさんあります。「TiltShift Generator」はWebアプリやWindows用の無料ソフトも提供しています。また、PhotoShopを使ってTilt Shift風に加工することももちろんできます。「ぼかし」や「彩度」を使って少しずつ加工すると、キレイなミニチュア風の写真に仕上がると思います。そして今回使ったのは、Photoshop CS6から登場した「チルトシフト」フィルタです。ちょろっとパラメータをいじるだけで、簡単にミニチュア風の写真ができあがっちゃいます。スゴい!

カメラを固定して連写、Time Lapse動画を作成

TIme Lapseというのは、数秒置きに撮影した静止画をコンマ何秒かずつ並べて動画にする、要はパラパラ漫画です。微速度撮影といって、雲の流れや自然風景の移り変わりを「早送り」で再生したいような時に用いる手法です。これも数年前から広く知られるようになり、vimeoなんかでは専用のチャンネルがあって、たくさんのコンテンツを見ることができます。長い時間をかけてダイナミックに変化する風景を、専用の雲台を使って少しずつカメラを動かして撮影すると、非日常的でとても不思議な映像を作る事ができます。
今回は雲台もないので、カメラを固定して6つのアングルでそれぞれ50枚〜100枚くらいの写真を連写しました。カメラによっては等間隔で自動的にシャッターを押す機能が付いていたり、PCで制御したり、電動雲台から制御するなど様々な方法がありますが、今回は普通に連写で撮っています。

さて、こうして撮影した数百枚の写真を、先ほどご紹介したPhotoshopの「チルトシフト」フィルタで1枚ずつ加工していきます。解像度を適当なサイズに修正して、フィルタをかける前に彩度やコントラストを少し調整します。同じ場所から同じ設定で撮影した写真なので、同一アングルから撮った写真は全て同じ加工を施します。1枚目の加工で使った処理は、Photoshopの「アクション」パネルから記録しておき、バッチ処理からアクションを呼び出すことで選んだ画像ファイル全てに同じ処理を施します。この程度の処理だったら、数百枚の写真もほんの1分程で加工が終わってしまいます。

Time Lapse作成専用のアプリ:Time-Lapseを使ってみた

あとは加工した写真を並べて再生するだけです。iMovieやADOBE Premireなどの動画編集ソフトのタイムラインに画像を読み込んで作ってもいいのですが、今回はせっかくだからMac App Storeでアプリを探してみることにしました。検索してみるといくつかアプリがヒットしましたが、いちばんシンプルで簡単そうだった、その名も「Time-Lapse」を使ってみることに。使いたい画像を選択して、各画像の再生時間など簡単な設定をいくつかするだけで、これまたたった15秒ほどで「チン!」という音とともにTime Lapse動画が完成しました。色々と便利な世の中になったものです。こうして作成したのが、冒頭でご紹介した動画になります。
もうちょっとコテコテに加工した方が、作り物っぽさが表現できたかなとも思います。でも、撮影の合間に撮った写真で作った割には、可愛らしい映像ができました。

360度パノラマやバーチャルツアーにも新しいアイデアを

今日のブログは、このサイトのメインテーマである360度パノラマやバーチャルツアーとは少し離れた話題でしたが、「ちょっとだけ工夫して面白いものを作る」というアイデアの引き出しは、常にたくさん持っておきたいものです。「こんなことできないの?」というお客様のアイデアに対し、「こうすればできます」と言えるためには、日々色々な実験や取り組みを続けていく姿勢が大事なんじゃないかな、と思います。パノラマやバーチャルツアーにも、新しいアイデアを取り込んで、見てもらって「スゴい!」と思ってもらえるようなコンテンツを、作り続けていきたいなと思っています。