360パノラマ写真のHDR撮影と普通の撮影の比較

2012年9月

PanoPlazaのパノラマ撮影では通常、HDR(High Dynamic Range)撮影・合成を行います。露出を変えた複数枚の写真を合成することで、白トビや黒ツブレの少ない写真を作ることができます。当サイトでも、「パノラマ写真の作り方 | 高画質パノラマ撮影」やブログ記事「スタッフのブログ | パノラマ写真で人を撮るとき」等で、その手法について簡単に触れています。wikipediaには、とても分かりやすく事例も交えた記事があります。カメラのフィルムやセンサーが記録できる明るさの幅は、人間の知覚できる明るさの幅よりも狭いため、その幅をあえてズラして撮影した複数の写真を合成することで、人の目で見た状態に近い写真を作るための手法です。夜景や風景、建築など、うまく合成できればものすごくキレイな写真が仕上がります。

HDR撮影と普通の撮影の比較

PanoPlazaの360度パノラマ写真や、パノラマ・バーチャルツアーでは、「その場の雰囲気を、できるだけそのまま」再現することを前提としています。そのため、大体の場合で、露出を変えた3枚の写真を使ったHDR合成を行います(ギガピクセルパノラマと呼ばれる、超高解像度のパノラマを撮るとき以外は)。HDRでは通常の3倍以上の枚数の写真を扱うことになりますが、撮影時や合成時にちょっとだけ手間をかけるだけで鮮やかな360度パノラマを仕上げることができます。そのため普段は何も疑わずHDR撮影なのですが、実際の撮影現場ではHDR撮影自体がブレや不鮮明な部分を生む原因になることがあります。足場が悪くてカメラが安定しない場合や、極端に暗くて長時間の露光を強いられる場合、野外で風の強い日や、幹線道路脇で振動が気になる場合、などなど。。そういう時は無理にHDR撮影しなくても、キレイに撮れる技術を身につけなければな、と最近考えていたところなのですが、そもそも360度パノラマ写真でHDRではない撮影というのを、あんまりやったことがないことに気がつきました。実際どうなんだろうと気になったので、先日撮影した360度パノラマで、HDR撮影とそうじゃない撮影の2枚を比較してみました。

※HDRで合成した場合

※HDR合成を行わない場合

ぱっと見…、ちょっと分かりづらいですが。。クリックすると、大きめのサイズの画像を見ることができますので、是非確認してみて下さい。細かいところを比較すると、HDR撮影の方が表現力に優れていることが一目瞭然です。HDRを使わない撮影では、床面がどんより黒く写ってしまったり、間接照明の当たった壁面が不自然な色になってしまっているのが分かります。カウンター部のボトルやサラダなども、HDR撮影の方が鮮やかに写っていますね。

こうして改めて比較してみると、特殊な条件でないかぎり、HDR撮影をした方がより現実的で、鮮やかなパノラマ写真が撮れることが分かりました。それでは、HDRが上手く行きそうもないとき、どんな撮影をしたら良いのかと言うと…。それはケースバイケースなのかもしれません。鮮やかさや、明暗の幅を広げることを優先するのか、それとも明瞭さやシャープネスを優先するのか。。それは、日々の撮影の中で、試行錯誤しながらその都度最良の手法を考えて行くしかないのだと思います。どんな環境でもちゃんとキレイなパノラマ写真が撮れるように、スタッフそれぞれが色々な工夫をしながら経験を積んでいくしかないですね。

パノラマ写真から作るスモールプラネット

今回のブログの本題は「360パノラマ写真のHDR撮影と普通の撮影の比較」というテーマでしたが、ちょっと話題を変えて小ネタを。

先日、かの有名なブログ「Web クリエイターボックス」さんが、パノラマ写真に関する記事を書かれていました。まるで界王星!Photoshopで作る惑星風360度パノラマ写真」という記事で、PhotoShopを使ってパノラマ写真からまるで小惑星のような(界王様の星みたいな)画像を作る手法が紹介されています。Webに関わる人ならば誰しも見たことのあるブログ「Web クリエイターボックス」さんで、パノラマ写真に関する話題が取り上げられるとは…。これをきっかけに360度パノラマ写真やバーチャルツアーも、更に盛り上がってくるかもしれません! そんなわけで、先ほどのパノラマを、PhotoShopで惑星にしてみました。

※PhotoShopで作ったSmall Planet

ちまたでは、「Small Planet」と呼ばれるそうですね。パノラマ合成の標準ソフトで、PanoPlazaでも合成に使っているPTGuiでも、簡単にSmall Planetパノラマを出力することができます。PTGuiの場合は、panorama写真の出力形式を「Circular」にして出力すると、Small Planetが出来上がります。なんだか不思議な感じですね。

※パノラマ合成ソフトから直接出力したSmall Planet

なんだか病み付きになってきたので、当サイトでも事例として掲載させて頂いているPanoPlazaのお客様のパノラマをSmall Planetにしてみました。やっぱり野外のパノラマの方が、「惑星っぽさ」が出て面白いですね。PanoPlazaでは室内を撮影することが多いので、野外のサンプルはあんまりないのが残念ですが…。しかしこうしてSmall Planetパノラマを並べてみると、うーん、意外とクールな絵になるんじゃないか。と、そう思ってPanoPlazaのポスターも作ってみました。

360度パノラマ写真って、バーチャルツアーとして利用する以外にも、けっこう色々な表現に使えるのかもしれませんね。ということで、今日は360度パノラマの撮影手法と、面白い出力形式についてご紹介させて頂きました。次回はまたちょっとした、撮影手法についてご紹介したいと思います。

iPhone5にパノラマ撮影機能が搭載!

2012年9月

皆様、こんにちは。昨日、ついにiPhone5が発表されましたね。4インチRetinaディスプレイや、A6チップ搭載による従来比20%近くの減量・薄型化、処理速度の向上。処理速度の向上は2倍とも4倍とも、画像処理能力については16倍とも言われています。「iPhone史上 最大のアップグレード」と言うひとが居たり、「スマートフォン史上 最大のアップグレード」と言うひとも居たり、更には「家電製品で最大のアップグレード」という検索結果もちらほら。。最後のはさすがにどうかと思いますが。
「家電製品で最大のアップグレード」と聞いて、僕が個人的に思い浮かべるのは、今年6月に発売された「パナソニック ナノイー搭載 ビエラ」です。お肌の調子を整える微粒子イオン「ナノイー」がテレビから吹き出すわけです。今までは空気清浄機的なもの(?)からしか吹き出さなかった「マイナスイオン」がテレビから。しかも画質も良くて、音もキレイ。録画も簡単、省エネ設計。しかも「マイナスイオン」が飛び出す。なんと大胆なアップグレードだろうと思ったものです。まぁその話は関係ないないま…。

少なくとも「iPhone史上最大のアップグレード」だったiPhone5の発表でしたが、市場やアナリストの分析はけっこう冷静で、「大方予想通りの発表だった」と結論付けられている記事が多いようです。その見方を反映してか、アップルの株価はちょびっと上がっただけに留まりました。発表を待っていたファンやユーザーは、「概ね満足な内容だったけど、腰が抜けるほど驚く内容でもなかったかなー」みたいな反応でしょうか。しかし皆さんは、大事な部分を見落としているようです。きっとその機能が搭載されたことに注目する人も少ないからでしょう。その機能が搭載されていることをもっと多くの人が知ったら、アップルの株価はまた大幅に上がるかもしれません。PanoPlazaのスタッフが注目しないわけにはいかないその機能とは、「パノラマ撮影機能」です。

iPhone5に新しく搭載された「パノラマ撮影機能」

iPhone5には、シャッターを押さず、ビデオを撮るように撮影範囲を収める「スイングパノラマ」形式でパノラマ撮影ができる機能が搭載されているようです。この機能はどうも現在のiOSにも開発段階では盛り込まれていたと聞いたことがあります。OSの設定をいじって機能をActivateするとパノラマが撮れるとか撮れないとか。しかし今回のiPhone5では、正式な機能として採用されたようです。アップルのサイトにもちゃんと紹介されています。

メディア向けハンズオンでパノラマ機能を試した動画がありました。残念ながら、左右240度まで、つまり360度のパノラマ写真はとれないみたいですね。しかしいずれにしても、iPhoneにこうした機能が正式に搭載されたことによって、パノラマ写真の認知度や360度パノラマに対するニーズが高まり、ハードソフト含めて様々な技術が新たに生まれ、バーチャルツアーがもっと身近な存在になれば良いな、と感じました。

Video streaming by Ustream

ウェブコンテンツとしてのGoogleストリートビュー(大学編)

2012年9月

Google社は「Googleお店フォト」や「Google Art Project」など、360度パノラマ写真やギガピクセルパノラマ(超高解像度パノラマ)を使ったコンテンツに多方面で取り組んでいます。今日ご紹介するのは、Googleストリートビューのギャラリーに掲載されている79校、121の大学のキャンパスです。今回41校の大学が新たに追加されました。PanoPlazaスタッフの母校もいくつかストリートビュー化されています。

 

日本には国立・公立・私立全てあわせて760校以上も大学があるそうなので、それを考えるとまだ少なく感じるかもしれませんが、360度パノラマ写真で志望校や出身校のキャンパスが見れるというのは、受験生にとっては良いモチベーションになりますし、卒業生にとっても懐かしくてつい見てみたくなるコンテンツだと思います。今後も継続的に増えていきそうですね。

ちなみに、日本で一番最初にストリートビューに対応した大学は立命館大学だそうで、公開記念セレモニーにはGoogleの辻野社長(当時)もいらっしゃたみたいです。

今回のGoogleの発表にあわせて、多くの大学がホームページにニュースを掲載していました。しかし、ニュースページで取り上げるだけでは、時間の経過とともにユーザーの目につきにくくなってしまいます。これに対して、立教大学はキャンパスマップページにストリートビューをiframeで組み込むなど、コンテンツとして上手く活用されていますね。

 

※ネットエイジアリサーチ:「大学選び」についての調査(2009年11月)

少し古い調査結果ですが、大学受験生が志望校の情報を収集する手段として、オープンキャンパスへの参加やPCサイトのチェックが上位に挙がっています。こちらを踏まえると、特に志望校から遠方に住んでいる受験生や家族の目線で考えると、とても便利なコンテンツと言えるでしょう。
遠く離れた志望校のストリートビューを眺めながら、来年春からのキャンパスライフを妄想…なんて十分にありそうです。そんな妄想をかきたててくれるのは、やはりパノラマ写真ならではの臨場感や没入感があるからなんだと思います。360度のパノラマコンテンツやバーチャルツアーは、物理的な距離が離れているほど、「行ってみたいけどなかなか行けない」場所であるほど、価値を発揮するコンテンツです。せっかくの魅力的なコンテンツなので、大学ホームページなど、最大限活用したいところですね。

センサーネットワーク

2012年9月

数年前に「センサーネットワーク」を研究していました。センサーネットワークとは、簡単に言うとセンサーがネットワークに接続されて新たな価値を生み出すシステムです。細かく言うとセンサーがワイヤレスであったり、データ通信がマルチホップ通信であったり、即興的にネットワークが構築されるアドホックネットワークであったりといろんな特徴づけも出来るのですが、とりあえずはここではセンサーがネットワークに繋がっているものをセンサーネットワークとして取り扱います。

センサーネットワークとカディンチェ

創業にあたり、当社が提供すべき技術してセンサーネットワークは選択肢に上がっていました。実際に受託開発では生体センサメーカーや私立大学の研究室からセンサーネットワークのデータビジュアライゼーションシステムの開発も受けております。ただ、パノラマバーチャルショップ/ツアーサービスにフォーカスしていたこともあり、自社サービスとしてセンサーネットワークに関する営業を出来ていないのも事実です。今日はそんなセンサーネットワークに関して、世界的にはどんなプロダクトやスタートアップが出てきているのかまとめてみました。

クロスボー:Mote

クロスボーはセンサーネットワーク研究の権威の一つであるカリフォルニア大学バークレー校発のベンチャー企業で、センサーネットワークを構成するセンサーノードの開発や販売を行っている会社です。世界中の研究者はここの製品であるMoteを使っていることもあり、センサーネットワークの会社としては老舗と呼べる会社だと思います。その製品の一つがeKo Moteで、防水タイプの無線センサーノードになっていて、主に農業等での使用を想定されています。


Green Goose

こちらはセンサーネットワーク研究者の後輩に教えてもらった米国の会社です。二つの製品を発売していて、一つは歯ブラシセンサーで、子供の歯ブラシに装着することで、どれだけ歯磨きをしているかをスマートフォンアプリを通じてチェックできるものです。もう一つはペットセンサーで、ペットがどれくらい散歩をしたのかや、3食食べているかなどをモニタリング、記録できるシステムになっています。センサーを日常的に楽しく使おうというアプリになっていますね。


SmartThings

クリエーターのためのクラウドファンディングサイトで話題になっていたのが、物体にセンサをつけることでモノをスマート化し、モノのインターネットを構築するデバイスSmartThingsです。原理的にはGreen Gooseなどとも似ていて、ドアにセンサをつけて開閉を検知し、ベースステーションにそのデータを送るなどの仕組みです。このモノのインターネットという考え方はRFIDによるオブジェクト認識から最近のSmartThingsのような取り組みまでを含めて、今後発展するであろう分野だと認知されています。


Pachube / Cosm

ここまでの多くがハードウェアを提供してたのに対して、Pachube / Cosmはそういったデータを集約するウェブサービスです。もともとはPachubeという名前のサービスでしたが今はCosmと呼ばれているようで、センサーの所持者はこちらのサイトに自分のセンサーを登録することで世界中の研究者や開発者にセンサーデータを提供できます。逆もまたしかりで一般ユーザはサイトに登録されているセンサーデータを利用して新たなアプリやシステムを作れます。実は当社のオフィスに設置されていた温度センサを一時期Pachubeにフィードしていました。


Microsoft SenseWeb

マイクロソフトの研究所でも、センサーデータを集約するウェブサービスであるSenseWebの研究がされていました(いまでも続いているかはこちらのウェブサイトからは読み取れませんでしたが)。大企業の研究所らしく、地図アプリケーションである3次元地形図へのデータのプロットをやったりと多くの研究成果が生まれたようです。


まとめ

センサーネットワークの技術自体は軍事、農業、工場等の大規模インフラストラクチャとして導入されているケースは多く存在しますが、一般ユーザの生活に入ってくるのはこれからだと考えています。また、センサーネットワークをテーマとした国際学会(例:ACM Sensys)も盛んで、次から次への研究成果が出てきています。今後も注目していきたいと思いますし、技術開発に取り組みたいと考えています。また追加情報がありましたら、こちらのページに追記していきたいと思っています。

soko aoki

パノラマ撮影キットの現状と今後について

2012年9月

パノラマ撮影のセルフキット

1ヶ月ほど前の話になりますが、BubblePixというイギリスの会社が提供している、bubblescope(バブルスコープ)というiPhone用のパノラマ撮影キットがニュースに取り上げられていました。このキットはいわゆる「ワンショットミラー」と呼ばれるもので、逆さにした円錐形のミラーに映る全方位の様子を撮影することができます。



※注意:BubblePixとは異なるミラーで撮影した写真

また、BubblePix社は専用共有サイトというを「場」をユーザに提供することで、パノラマ撮影の動機付けをし、結果的にこのハードウェアのプロモーションの役割を果たしていると言えます。

 

セルフキットとPanoPlaza

当社では、このような簡単かつ低コストなパノラマ撮影を可能にするハードウェアに注目しています。というのも、私たちが提供するPanoPlazaはお客様自身でパノラマ写真をご準備頂くところがスタート地点となるサービスで、それ以降のバーチャルツアーコンテンツ制作の工程にフォーカスしています。従って、このようなパノラマ撮影のセルフキットが広まることで、よりPanoPlazaのニーズや利用価値が高まると考えているのです。

もちろん、当社スタッフが現地にお伺いする撮影サービスもご提供しており、非常に多くのお客様にご利用頂いておりますが、「自分たちで手軽に撮影できるような方法はないのか」といったご要望を頂くこともまた事実です。

画質とコストのトレードオフ

さて、このbubblescope、一般ユーザが手軽に簡単にパノラマ撮影ができるというメリットがあるものの、デメリットも残念ながら存在します。それは画質が相対的に見て良くないという点です。

例えば、パノラマ写真が撮影できるiOSアプリの代表格、Photosynthは、撮影した複数枚の写真から、高画質な1枚のパノラマ写真を自動的に生成しますが、bubblescopeの場合は、ミラーに写った全方位の風景を1枚の写真として撮影・加工するため、どうしても画質が劣ってしまいます。逆にPhotosynthは回転途中で上手く行かなくなってしまったり、写真の繋ぎ目が少し破綻してしまうなど、必ずしbubblescopeのワンショットのような手軽さがあるわけではありません。

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このように、現在の技術では、パノラマ写真の画質と撮影コストはほぼ完全なトレードオフの関係にあると言えるでしょう。(例外をご存知の方、ぜひ不勉強な私に教えて下さい!)

今後のイノベーション

このトレードオフ、なかなか悩ましい問題ですが、近い将来、これを覆すようなイノベーションが必ず起こると信じています。特にここ数年で起きたスマートフォンの急速な進化と普及が、写真を軸としたコミュニケーションのあり方に大きなインパクトを与えています。従って、スマートフォンという技術が写真共有アプリの盛り上がりを生み出したのだとしたら、技術的なイノベーションさえあれば、「空間そのものの共有」という新しい形のコミュニケーションが促進されることもあり得るのではないでしょうか。

今後も、パノラマに関連する様々なハードウェアやサービスについて書いて行きたいと思います。

バーチャルツアーはiPadのキラーコンテンツになるか

2012年9月

バーチャルツアーはiPadと相性が良い

PanoPlazaで作るバーチャルツアーやバーチャルショップは、基本的にPC、iPhone、iPad、Androidタブレットでそれぞれ閲覧することができます。必要があれば、PCとiPhoneで画面表示を変えたり、機能を変えたりすることもたまにやります。そして納品時にお客様から頂くコメントの中で一番多いのは、「iPadだと気持ちよく動くねぇ」「タブレットの方が、直感的に楽しめるね」というものです。360度パノラマのコンテンツは、タッチで視点を操作したり、ビンチで拡大するなど、タブレットの操作と非常に相性が良いというのが、私たちと多くのお客様の共通した認識です。

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※ICT総研:2012年4月26日

上記のグラフは、2010年度以降のタブレット端末の日本国内および世界での出荷台数です(2012年度以降は予測値)。iPadを筆頭に、タブレット端末は今や私たちの生活に広く浸透し、程なく日々の生活に欠かせないデバイスとなるかもしれません。自然と、「iPadで何をするか!?」「どんなコンテンツをiPadに載せるか」ということが話題になります。PanoPlazaでも、バーチャルツアーをアプリに埋め込んだり、iBooks形式の電子書籍に埋め込んだり、タブレットを絡めたお仕事を頂くことが多くなりました。慶應義塾大学様・国際航業株式会社様とご一緒させて頂いた「屋内混雑度共有アプリ:aitetter」では、二子玉川ライズ内の混雑度をAndroidから確認できる機能に加え、その場所の様子をパノラマで確認できるようバーチャルツアーを閲覧できるようにしました。Pihana Consulting様と一緒に三越伊勢丹株式会社様にご提案させて頂いた「イセタンハネダストア バーチャルショップ」では、伊勢丹様店舗に設置したAndroid端末の専用アプリ内に、バーチャルツアーを入れました。最近では住宅メーカー様向けに、モデルハウスをバーチャルツアー化し、電子住宅カタログの中で活用するというご提案をしています。最近では、360度パノラマ、バーチャルツアーの打ち合わせをしていると、「iPad」や「タブレット」という単語が必ず出てくるようになりました。

iBooks:作りやすさや配布のしやすさが魅力

バーチャルツアーと、iPadやタブレットという切り口で、PanoPlazaが注目しているのはiBooksです。360度パノラマ写真やバーチャルツアーを、スマホやタブレットで閲覧するには、色々な方法があると思います。アプリとして作りこんでもよいし、ブラウザベースで閲覧できるようにしてもよいし、AndroidであればFLASHで作ることもできます。現在様々な形式のものがありますが、電子書籍として公開することもできます。ただ私たちは、色々なやり方がある中でも、iBooksコンテンツとしてバーチャルツアーをiPadで活用することをお勧めしています。その理由は、iBooksの作りやすさと配布のしやすさ、それから前段で少し触れたiPadのシェアです。iBooksコンテンツは、アップルのAPP STOREでダウンロード可能な「iBooks Author」というソフトを使って制作します。ドラッグアンドドロップなどの直感的な操作で、電子書籍を制作編集することができます。そしてこの「iBooks Author」には、Webの標準的な技術で作られたコンテンツを、ウィジェットとして組み込むことができます。既に制作しているバーチャルツアーをウィジェット化するだけなので、iBooks用に追加の開発や余分な手間がかかることがありません。そういうわけなので、バーチャルツアーをタブレットで見るには、iPad(iBooks)で見るのが一番早くてお手軽ですよ、とお話させて頂いております。

iBooksや電子書籍への期待値は?

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さて、ここまではどちらかというと、360度パノラマのバーチャルツアーを制作しているPanoPlazaスタッフとしての見解でして、実際に電子書籍やiBooksは昨今の世の中的にどうなのでしょうか。iBooksは、発表当初はとても話題になり、日本でも富士重工様の「LEGACY」のプロモーションで制作された事例(右)のように、スタイリッシュなコンテンツも登場してきました。すぐに浸透するものと感じていましたが、現時点でそれほど大きな広がりを見せているわけではなさそうです。一方米国ではそれなりに多くのコンテンツが流通しているようでした。iTunes Storeの設定を「US」にしてしてみると、膨大な数の電子書籍が出てきます。その中で、iBooks Authorによって作られた書籍には、「Made with iBooks Author」という印がついています。iBooks Authorによって作られた書籍は、iPad用、iPhone用でそれぞれ4万件を超えるくらいでした。これが多いのか少ないのか、今後の普及を期待するのに充分な数値なのか、現時点では判断できませんが、今後日本も含めてiBooksのコンテンツがより広く流通するようになる余地は充分あると予測しています。

iPad(iBooks)+バーチャルツアーは、これから!?

※APP BANK:2012年3月28日

一方、こんなデータもあります。上記はiPadユーザーの年齢と性別の分布です。これを見ると、iPadのユーザーは、割と年齢層が高いことがわかります。なんと40代以上のユーザーが、全体の50%を占めています。さらにユーザーの80%が男性であることがわかります。iPhoneやスマートフォンが、若者世代を中心に普及しているのに対して、iPadやタブレットは「大人向け」の渋いデバイスだということが分かります。

また、右の図は、そのiPadユーザーに聞いた「電子書籍を読んだことはありますか?」という調査の結果です。80%以上の人が、「電子書籍を読んだ事がある」と回答しており、90%の人が「電子書籍に興味がある」と回答しています。iPadやタブレット端末が広く普及していくと同時に、「電子書籍」という言葉も広く認知され、多くの人が「電子書籍」に興味を持ち「読んでみたい」と考えていることが分かります。「これからは電子書籍が来る!」と思いたいところなのですが、そういったソフトウェア会社、制作プロダクションの気持ちに水を差すようなデータもあります。

※MMD研究所:2011年11月25日

上記のグラフは、「今後増えたらいいと思う電子書籍のジャンル」についての調査結果です。これを見ると、「電子書籍」はあくまで「紙の書籍」の延長線上であり、まだまだその枠を超えたコンテンツとして認知されていないように見えます。「Webコンテンツをウィジェットとして電子書籍に埋め込む」ことで実現できる、インタラクティブなコンテンツ、リッチコンテンツ、ネットワークと連携したコンテンツという意味では、「期待が薄い」というよりは「それが比較的簡単にできることが、充分に知られていない」状況なのかもしれません。充分に知られていないということは、事例や実績が増えれば、iBooksの活用について認知が広がり、あたらしい機会が生まれてくる可能性がある、ということかもしれません。(という風にとらえたい)

今日は、360度パノラマ写真、バーチャルツアー、iPad、iBooksというキーワードで、少し前にPanoPlazaスタッフ内で議論した内容をもとに、ブログを書いてみました。バーチャルツアーをどのように活用するかという話は、お客様それぞれで最適な形があり、PanoPlazaではどのような開発手法、制作方法でもご提案させて頂く事ができます。一方で、低コストで、スピーディに再利用、活用するための手法として、iPad(iBooks)周りの今後の動きにも注目していきたいと思います。

長くなりましたが…、最後までお付き合い頂きましてありがとうございました! iPadやiBooksのネタについては、今後も継続的に書いて行きたいと思います。

サウンドデザイン

2012年9月

「そうだ京都、行こう。」JR東海

「そうだ京都、行こう。」。これは1993年から始まった某鉄道会社のTVCMのキャッチフレーズ[太田恵美(コピーライター)]です。このTVCMを通じて約20年間もの間、春・夏・秋・冬の京都の良さを時代背景を表すキャッチフレーズと共に伝えられてきました。1997年初夏の詩仙堂編では「ある日突然戦うのが嫌になりました。花や虫たちと暮らすことにしました。」と、『武士』から『文人』に転身した石川丈山(いしかわじょうざん、1583年生)も闘いのストレスに悩まされたのかも知れませんね。そこで、わずか15秒のCMの中で唯一気になる音がありました。カコーン♪そうです「鹿威し(ししおどし)」です。

ランドスケープ(光の風景)とサウンドスケープ(音の風景)

着目したいのは『光景』と『音』のバランスです。21世紀の今日の技術においては、この「鹿威し」の竹筒を音響設計して最上の音色を創ることができます。しかしながら、丈山だけなく当時の方々は、ふすまを開けて和室から眺める視覚だけの風景に一つアクセントを取り入れたかったのではないでしょうか。そこで『音』だったのでしょうね。お寺には、鳥や蝉の鳴き声、床を踏む足音や床が軋む音、そして熊手を使っての庭の砂利の手入れ等、情景が浮かんできませんか。これらの音は不規則なリズムを刻む一方で、「鹿威し」は規則正しいリズムを刻みます。きっと、心を落ち着かせる効果があったのかもしれませんね。

動物は空間認知力(Spatial Perception)が優れている

ところで、この「鹿威し」は庭に動物を近づけない役目を持っているようです。厳しい地球環境で生きるために身近な動物には外敵から身を守るために感覚器官が発達しています。例えば、馬の耳はご主人様の命令に従うために耳を動かすことができ、またフクロウについては目の横に非対称性の両耳で3次元空間をとても繊細に獲物の位置を特定できると言われています。動物は人間と違い器用に道具を創ることができないため、こうした聴覚を使った360°の空間認知力が優れているのでしょう。

一方、創造性の有する人間は、この繊細な情報が含まれている360°の音空間で、安らぎを感じ、災害から身を守り、物質の質感を知り、花火の大きさや距離を知り、また調理の音から美味しさを楽しむなど、音を様々な役割として捉えています。

さて、これまでに、カディンチェではこのような360°の空間を撮影したPanoPlazaを展開してきました。これはギガピクセル・パノラマと呼ぶ高精細なパノラマ画像によるもので、360°の空間を自由に移動することができます(ギガピクセル・パノラマについての説明はこちら)。PanoPlazaはまた同時にあらゆる音を360°空間に貼り付けることもできますので、アピールしたいお店や綺麗な風景などに併せて、360°の空間を視覚と聴覚(サウンドデザイン)で雰囲気創りの演出をしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

これまでカディンチェは画像の空間表現技術の探究に基づきPanoPlazaを開発してまいりましたが、(空間表現技術の比較はこちら)、カディンチェは引き続き自然環境に近い統合メディアについて検討を行ってまいります。

akihiko arimitsu

Promote Tourism in Japan

2012年9月

Japanese loves trips. As you may notice in your country, Japanese is everywhere. Some people travel in a group and others travel by themselves. Recently young generation visits not only major destinations such as North America and Europre but also Asia, Africa, and South America.

Kadinche is helping Bhutan

Kadinche is helping Tourism Council of Bhutan in their tourism promotion in Japan. We especially working on maintenance of Japanese written website, social marketing, and event exhibition such as JATA (Japan Association of Travel Agents) JATA Tourism Forum & Travel Showcase. Since the opening of the website, it gets a lot of popularity among general viewers, travel agencies, and media related people. Japan visit by His & Her Majesty King of Bhutan also attracted Japanese to this country.


Web promotion & marketing of your country

More & more Japanese are tend to search for their next vacation destination by using the Internet. In this kind of occasion, Japanese written official website and friendly social media such as Facebook page and Twitter are useful. Especially for the local tour operators and optional tour providers, direct & mutual communiation with these potential customers would lead to the direct increase of your customers.


How do you appeal your country?

Of course the website and social media would be the main channel. And what will you write and show in these channel? Why don’t you put movies, sounds, and panorama virtual tours of your nature, hotel, and sightseeing spots! You can refer to some of the space expression contents in our blog. We are ready to help you. Please feel free to contact us from this form.

バーチャルツアーに絵が描けたらどうなのか!?

2012年9月

先日PanoPlazaのお客様と雑談中に、「せっかく撮影して作ったバーチャルツアーを、もっと違う視点から活用できないだろうか」というお話をさせて頂きました。最近、住宅メーカー様向けに営業展開していることもあり、360度パノラマ写真のバーチャルツアーコンテンツをそのまま「(例えば住宅の)電子カタログ」や、「(住宅展示場の)接客ツール」としての活用をご提案することも多いのですが、そのお客様が挙げてくれたのは、「プレゼンツール」としての活用でした。

プレゼンツールとして、360度パノラマ写真をどう使うか

「プレゼン」という言葉でまず思い浮かぶのは、社内の企画コンペであったり、競札案件のプレゼン大会などがあると思います。話題に出たのは、例えば「内装デザイン会社やインテリアメーカーが、自社で施行した事例や、ショールームをバーチャルコンテンツで見せる」というものです。または新しく完成した商業施設や文化施設の記者会見で、「この度こういう施設ができました」と、360度パノラマ写真でアピールする、というのも臨場感があって素敵なんじゃないかと思います。

ただ、「空間を作る」「空間を見せる」という意味では、住宅メーカーであっても、大型ビル完成の記者会見であっても、パノラマバーチャルツアーの使い方は変わりません。そこで、「プレゼン」ツールとしてどんな機能があったら良いかを、帰社後に考えてみました。まずは簡単なところから、「バーチャルツアーに絵が描けたらどうなのか」という話を、社内のエンジニアとしてみました。「バーチャルツアーに絵が描けたら、こんなに素敵なプレゼンができる!」というストーリーは置いといて、その3歩くらい手前の、「どうなのか!?」、ということで、簡単なデモを作ってもらいました。

360度パノラマのバーチャルツアーに絵が描けたら

HTML5のcanvasで線が引けるようにしてみたという簡単なデモなんですが、その動画がこちらです。どうでしょう。パノラマとバーチャルツアー自体はそのまんまなんですが、例えばプレゼンの現場で、「このお店のこの部分には相当のお金をかけました!」とか、「今回のこの施設の見どころは…、ココなんです!」みたいな熱意あるプレゼンや、それを盛り上げるバーチャルツアーの活用の光景が、目に浮かぶような浮かばないような…。どうでしょう!?

今後ともよろしくお願い致します。